社長就任以降、ずっと構造改革。津賀さん!いつパナソニックは成長するんですか?

「長年の成長への仕込みがなっていなかった」(津賀社長)

パナソニックが成長戦略を描ききれずにいる。「赤字事業の撲滅」といった構造改革の段階から抜け出せていない。成長の柱としていた車載事業は目下、収益の改善に取りかかっている状況。空間演出などといった領域に経営資源を投資し、利益率の高い「ソリューション型事業の拡大」を図りたい考えだが、実態をつかみにくい。新しいビジネスモデルを模索する津賀一宏社長に聞く。 ―この1―2年、会社の姿が分かりづらくなってきました。 「分かりにくいかもしれないが、それが当社のネイチャー(本質)だ。(従来は)“家電の会社”という分かりやすさの演出で、デジタルテレビを象徴としてきただけだ」 ―成長戦略についてはいかがですか。 「一朝一夕にできない。8兆円規模の当社が数%成長するだけでも大規模な売上高の増加が必要。しかし、すぐに成長する事業は収益を出しにくいか、早くに成長が止まるかのどちらかだ。ビジネス機会も大きく、競合他社に取って代わられやすい。だから慎重な(成長戦略の)作り込みが必要だ」 ―日立製作所やソニーと比較されがちです。 「彼らの成長戦略は長年にわたって仕込み、花開いた側面が大きい。一方、パナソニックは長年の仕込みがなっていなかった。例を挙げるとデジタルテレビ。重要な事業で、大きな経営資源を投じた。でも結果は長期的な成長戦略の仕込みにならなかった。車載事業は大きなビジネスチャンスがあるが、産業構造の変化で自社のみでは描けない。一度、再挑戦という形でじっくり考えていく」 ―では今中計は成長戦略の“練り直し期間”ですか。 「そうだ。中計で一気に大きな成長を見越すよりも、ビジネスモデルを変革しながら赤字事業を処置し、成長できる体質に戻す。これが今の段階だ」 ―変革後の姿は。 「基幹事業に位置付けたのは全てBツーB(企業間)事業だ。例えばソリューション型からサブスクリプション(定額課金)型へとビジネスモデルを変える。その先に成長戦略に値するものが生まれる。そのための土俵がやっと出来上がった。家電事業のようなBツーC(対消費者)もBツーBのようにしないといけない。そこで18年に掲げた『くらしアップデート業』という考えが必要になった」 8年目に突入した“津賀体制”。次期社長の人事にも注目が集まる。津賀社長は「当社が(長期的に)30年に向けてどう変わるべきか、というおぼろげな方向性をより具体的にするのが次期社長の役割であるのは間違いない」としている。 社長候補として名前が挙がるのが楠見雄規常務執行役員、本間哲朗専務執行役員、品田正弘常務執行役員だ。楠見氏は現在、車載事業トップで、家電分社副社長も歴任した。本間氏は家電事業トップを務めた後、新設したCNA社長を務めている。品田氏は家電事業トップだ。 津賀社長はできるだけ早い時期に引き継ぎたい考え。ただ「次の社長が『困ったな、弱ったな』という形でバトンタッチはしたくない」と話す。 (取材=大阪・日下宗大) <関連記事>

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