26年ぶり箱根駅伝、筑波大に日本スポーツの源流あり

大学院生らがスポーツトレーナー実習を手がける(筑波大SPEC)

東京五輪・パラリンピック開催の2020年。年明けの1月2日からの箱根駅伝に、筑波大学は26年ぶりに出場する。箱根駅伝創設に尽力した金栗四三(かなくりしそう)は、同大前身の東京高等師範学校在学中に、日本人初のオリンピック選手となった“いだてん”だ。高度なスポーツの教育と競技を両立させる意識は、同大の学校教育“体育”の伝統に裏打ちされている。(取材=編集委員・山本佳世子) 箱根駅伝は大学ブランドのPR効果が高く、常連大学は優れたアスリート学生の獲得や資金支援に力を注ぐ。筑波大は体育専門学群があるが、国立大だけに制約は大きい。 再出場に向けた同大の「箱根駅伝復活プロジェクト」の開始は11年。卒業生が監督に就任し、クラウドファンディングで資金を集め、栄養やコーチングなど体育系教員の知を投入した。学業で多忙な医学部生も含むチームでの悲願達成で、同大関係者は誇らしげだ。 同大の歴史を語る上で東京高等師範学校の校長を20年以上、務めた嘉納治五郎(かのうじごろう)は外せない。柔道の創始者でアジア初の国際オリンピック委員会(IOC)委員。金栗の才能も見いだした。体育専門を含む教員養成を手がける同学校で、体育(身体教育)を重視した。今でも同大は専門によらず体育は学部2年生まで必修、4年生まで履修可となっている。 その伝統を土台に同大の体育系の教員は約130人、学部の体育専門学群の学生は約1000人、大学院の体育関連専攻の学生は約350人。世界最大のスポーツ科学の研究集団だ。学生アスリートの競技は学校教育の一環と明確に位置付け、競技スポーツの課外活動でも、指導者のすべてに教員を配置する。 社会人を含むトップアスリートの大学院生の多さも目を引く。理想の一人は、同大で博士号を取得して日本航空のアスリート社員となった、走り高跳びの戸辺直人さんだ。競技の踏み切りとパフォーマンス向上過程の動作を分析。博士研究の成果を活用した“課題解決”で、13年ぶりの日本新記録を自ら達成した。 アスリートはキャリアを指導者やスポーツ関連ビジネスに広げることが多い。その時に博士号は差別化の武器になる。大学スポーツの目指すべき一つの形がここにある。

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