日産が330億円投資する「27変化」の次世代生産ライン

まず栃木工場に“CASE対応ライン”

ハケを使う匠の手の動きをロボットに伝承する

 日産自動車はロボット活用による自動化推進などを柱とする自動車工場の生産技術革新を進める。人が担ってきたパワートレーン(駆動装置)の組み付けなどをロボットに置き換える。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ぶ新技術で構造が複雑化する次世代車の生産でも高品質・高効率を維持したい考え。まず2020年に栃木工場(栃木県上三川町)に約330億円を投じて展開し、ほかの国内外の工場に広げる。  日産が生産革新でつくりあげる“CASE対応ライン”の真骨頂は「パワートレーン一括搭載」と呼ぶシステムだ。作業者が専用パレットに各種部品をセットするだけでロボットが1工程で自動で取り付ける。モーター、エンジン、電池、サスペンションで「27通りもの組み合わせに対応する」と坂本秀行副社長は胸を張る。  画像認識技術を活用してボディーを測定し、0・05ミリメートルの精度で組み付ける。従来、同工程では複数の作業者がきつい姿勢で6回の作業を経て各部品を取り付けていた。  大変革期にある自動車は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に加え、既存のエンジン車も残る。さらに自動運転技術などの搭載も進み、機能や構造が複雑化する。  効率や品質を維持しながら車づくりを続けるには、「従来の労働集約型の大量生産から脱却しないと対応できない」と坂本副社長。今回、日産が生産革新に乗り出す背景にはこうした事情があり、(1)車の高度化への対応(2)匠〈たくみ〉の技のロボット化(3)人とロボットの共生―を3本柱に据え、幅広い工程で新技術を導入する。  水漏れ防止のシーリング塗布工程は従来、熟練技能者がハケなどで手作業で仕上げていた。施工部位の形状が複雑なためだ。今回、匠の技能を数値化してロボットに教え、手の動きを忠実に再現して自動化する。  また塗装ラインでは、低温でボディーを処理できる水系塗料を新規開発し、低温処理が不可欠な樹脂バンパーとの同時塗装を可能にした。工程で発生する二酸化炭素(CO2)を25%削減できるという。  坂本副社長は生産改革について「人員削減は目的ではない。人の難作業を減らし、高齢者や女性が働きやすい環境をつくる」と話す。  国内外のほかの工場への展開については「設備更新時期や稼働率をみて、適切なタイミングを見いだせるかが課題」とするが、技術単体でも順次導入していく。 <関連記事>

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