「倉庫を並べるだけではない」…大手デベが物流施設に入れ込む事情

首都圏で投資活況

物流施設は旧来の倉庫から大きな進化を遂げている(10月に完成した三井不動産の「MFLP船橋II」)

首都圏を中心に、不動産大手が手がける高機能物流施設が増えている。三井不動産と三菱地所が足元で稼働・計画する60拠点の累計投資額は、約7700億円。旺盛な電子商取引(EC)や物流会社の拠点集約を受け、さらなる市場成長が見込めると判断。先行する外資2社や大和ハウス工業を追い、事業の柱の一つに育てる。 拡大するEC市場を追い風にサプライチェーンを効率化する動きが相次ぎ、旧来の倉庫で高機能化が進展。不動産大手が最も得意とする「坪単位でスペースを貸し、その賃料で収益を得る」というビジネスが成り立つ市場が確立された。オフィスビルや商業施設のテナントに対し、直接営業できることも参入のハードルを下げた。 その不動産大手が存在感を放つもう一つの理由が、テナントが抱える人手不足問題を解消する豊富なタネにある。不動産開発の知見をフル活用し、鉄道で通勤しやすい立地を厳選。オフィスビルと同じくラウンジや保育施設なども充実し、満足度の高い“働く場”を仕上げてみせた。賃料収入が見込める貸し床は減るが、大手幹部は「それ以上の効果がある」と断言する。 ロジスティクス事業を担当する三井不動産の三木孝行常務執行役員は「物流施設でも地域の価値を高めるのが原則。単に倉庫を並べるのでは当社がやる意味がない」とする。屋上デッキやカフェテリアなどは、もはや当たり前。「街づくり型」を掲げる千葉県の施設では地域に開放する広大な緑地を整備。スケートリンクも開く。 三菱地所もカフェテリアや女性従業員向けのパウダールームを充実したり、無料Wi―Fiや宅配ロッカーなどを導入したりする。「働く人の癒やし」にこだわり、木漏れ日をイメージしたデザインも取り入れる計画だ。また人材派遣会社との業務提携によって、テナント企業による採用活用も後押し。好評を得ているという。 一方、大和ハウスは21年度までの3カ年の中期経営計画で、物流施設を含む事業施設部門に3500億円を投じる方針。ただ開発は順調で、早くも上振れが濃厚だ。ソフト面の差別化にも積極的で、ママスクエア(東京都港区)と連携。子育て中の母親が時間を選んで働ける仕組みを整え、テナントの柔軟な人材確保を可能にした。 不動産サービス大手の米CBREは「現状は物流業界の構造的な変化による活況」と捉え、当面はこの流れが継続すると見通す。首都圏に立地するマルチテナント型物流施設の空室率は19年7―9月に2・4%となり、調査を始めた04年以来の最低値を更新した。7―9月には過去最大の新規供給もあったものの、需要が上回った。

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