子どもの「スマホトラブル」親はどう防ぐ?

著者登場『親が知らない子どものスマホ』鈴木朋子氏

 いまや子どもたちにとっても、生活になくてはならない存在となったスマートフォン。しかし付き合い方を間違えるとトラブルに巻き込まれる可能性もあり、親にとっては何となく「怖い」イメージがあります。今どきの子どもたちがどのようにスマホを活用しているのか、スマホとの上手な付き合い方などを記した『親が知らない子どものスマホ』の著者、鈴木朋子氏にお話を伺いました。(取材・昆梓紗) ―本を書いたきっかけは。  娘が高校生になりスマホを初めて持たせたとき、大人とは違った使い方をするのが面白いなと思いウェブ記事として掲載しはじめたのが始まりです。記事のアクセスも良かったので「みんな知りたいことなんだな」と感じました。子どもとスマホ、というと「危ない」「使わない方がいい」という方向になりがちですが、それが嫌で。今やスマホはなくてはならない存在なのに、大人が禁止してしまうのはもったいないことです。私はエンジニアの仕事を通して、ITやスマホは役立つし面白いということを経験してきました。子どもたちにもその面白さを知ってほしいと思っています。 ―なぜ親は子どもがスマホを持つことに抵抗感があるのでしょうか。  スマホがブラックボックス化していることが挙げられます。スマホが世の中に登場して約15年ですが、大人もよくわかっていない人が多い。子どもの方がうまくスマホを使っている場合もあります。その「よくわからないもの」を子どもに使わせるのは不安だ、というのが大きいのではないでしょうか。どのような使い方があるのかを知り、予測を立てることで準備ができるのではと考え、この本を執筆しました。 ―子どもとスマホに関する話をする上で、主に流行しているSNSの種類や概要だけでもまず知っておくというのは大事ですね。  子どもが何かトラブルを抱えた時に、まったく何もわからない人には相談しにくいと思います。そうなると誰にも相談できず事態が悪化してしまう可能性もあります。また、スマホやSNSは単なる「デジタルツール」であり、その向こうにいるのは人間です。対人に必要な社会常識やコミュニケーションの取り方は大人が教えられる部分ですよね。  とはいえ、政治家や有名人であってもネットでの発言が炎上するなど、使い方に慣れない大人も多くいます。大人も子どもも一緒に使い方を学んでいく必要があるのかなと思います。 ―子どもたちの流行は早く、追い付くのが大変です。  子どもの間で何が流行っているかは、日常会話の中で自然に共有されるのが一番良いと思います。とりあえずでも親子で同じツールを使ってみると、何となくでも仕組みや面白さが理解できるのでおすすめです。  また使われているツールは変わってきていますが、やっていることは意外と変わらないものもあります。例えば「もらった人が次の人に回さなければ不幸になる」というような、いわゆる「不幸の手紙」も昔ははがきでしたが、Eメールを経て今はLINEです。 ―スマホに依存してしまうのが心配だという親も多いと思います。  現在の高校生はスマホを一日平均6時間使っています。心配であれば使用時間の制限ができる機能やアプリなどを活用するという手もあります。  ただ、遊ぶだけではなく勉強にもスマホが活躍しています。Youtubeには授業や解説動画がたくさん上がっていますし、勉強用SNSでは質問が飛び交い、「模試で●点を取るのが目標です」「●●が志望校です」という報告をしたり励まし合ったり、といったやりとりが活発に行われています。リアルでは勉強していることや志望校を公に言いにくい雰囲気もあるので、そういった情報交換はSNSで、と使い分けているのでしょう。またLINEのビデオ通話を繋いだまま友人と勉強して、わからない部分があれば教科書やノートをカメラで映してその場で質問しあうなどうまく活用していますね。 ―親が一番心配なのは、スマホを通した犯罪やトラブルだと思います。  子どもを騙そうとする大人は、まず素性を明かしません。「同い年の子」になりすまして近づいてくるなどの手口を使うことも。仲良くなって写真を送るよう求めてきたり、会おうと言ってきたり、そういったアクションがあった場合は危険だと気付くべきです。  また多いのが、アーティストやアニメなどの「グッズ交換」「チケットの売買」などで接触を求めてくるもの。子どもとしては同じファンだし会ってもいいかな、と気軽に思ってしまいます。子どもの世界は基本的に「悪い人」がいないので、相手が騙そうとしているという想像ができないのです。また子どもは意外と真面目なので、メッセージをもらうと返さなければならないと思ってしまうこともあります。  子どもにスマホを渡すときに「インターネットで知らない人とやりとりしない」「絶対に会いに行かない」「どうしても会わなければならない場合は大人を連れていく」などとルールを決めるとよいでしょう。  スマホを持ち始めた中学生や、新しい出会いも多くなる高校入学時などはトラブルが多くなる傾向にあります。またスマホを持つ年齢も徐々に低年齢化していますので、より注意が必要です。 ―個人情報の取り扱いも気を付けるべきことの1つだと思います。  今や個人情報をネット上に出さないことの方が難しい時代です。SNSのプロフィール欄に出身校や所属部活などを詳しく書く子もいます。友達に教えたいからと書き込んだ情報でも世界に発信され、悪用される可能性もあることを教えておくことが必要です。ただ最近では「インスタに顔写真を載せない」、「モザイクをかける」など個人情報の扱いを意識している子も多くなっています。 ―フィルタリングなどの制限をかけている親も多いと思いますが、それだけで安心というわけにはいかないのが現状です。  もっと自由に使いたい子どもはフィルタリングをかいくぐろうと試行錯誤します。安易なパスワードは解除されたり、ウェブ検索で突破方法を探したり。  以前インタビューしたある女子高生は、通信教育の教材だけを使えるように制限されたタブレットにLINEなどをインストールする「裏ワザ」的なものを友人同士で情報共有し、実際にアカウントを取得したと話してくれました。その子は特にガジェットや機械に詳しいわけではなく、ごく普通の女子高生だったので驚きました。また親の財布からクレジットカードを取り出し、ゲームの課金をしていたという小学生もいました。暗証番号が家族にわかりやすいものだったようです。 ―トラブルを防ぐために必要なことは。  当たり前ではあるのですが、気軽にいろいろな話ができる親子関係を築くことが一番大事です。話す機会がないと子どもが抱えているトラブルを言いづらいし、何が疑問かもわかりません。逆に大人の意図も伝わりません。  アメリカで13歳の息子を持つブロガーが提言し、ネット上で共感され拡散された「スマホ18の約束」があります。「これは私が買った、私の電話です。あなたに貸します」「いつかあなたは失敗するでしょう。そのとき、私はあなたの電話を取り上げます。新たなスタートに向けて私たちは座って話し合いましょうね。私はあなたのチームメイトですよ」などの取り決めがあります。 その中でいいなと思ったのが「スマホのパスコードを親が知っておく」というものです。子どものスマホを実際に開かなくとも、「いつでも親に見られる可能性がある」というのは抑止力になります。また、スマホは高価な機器で、通信や維持にもお金がかかります。親が契約したものを「貸している」という状況をきちんと理解して使わせること、親の方もそういった態度で接することが必要です。 日経BP、1540円 鈴木 朋子(すずき・ともこ)氏 ITライター/スマホ安全アドバイザー メーカー系SIerにてシステムエンジニア業務に従事、のちフリーライター。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを追っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。著作は『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など20冊以上。

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