15分に1度程度休んでも精度が落ちていたジャム目視検査、AIでどう解決した?

検査装置と人による目視検査を併用(左)、加熱後のジャム状になった原料

 ジャムの国内トップメーカー、アヲハタ。ジャム工場(広島県竹原市)の生産ラインに、ニコンと共同開発した画像による異物検査装置を導入した。瓶詰めする前の液体状のジャムを全量、この装置にかけて異物を取り除く。全量検査作業は人の目で行ってきたが、同装置で効率化できる。品質と効率という命題を両立させた。  開発した装置は、ベルトコンベヤーで運ばれるジャムの静止画を2秒に1回のペースで撮影し、異物を見つけると下工程の多関節ロボットが真空パッドで吸着して取り除く。  最も難しいのが、撮影した画像から、何が異物で何が正常かを判別できるようにすること。このため4台のカメラがそれぞれ異なる四つの波長の光で撮影し、異物を検出する能力を高めた。  ジャム工場で生産する十数種類のジャムすべてに対応する。それぞれの果物ごとに、混入しやすい異物がある。イチゴならヘタ、ブルーベリーなら小枝、モモなら種の周りの色が違う部分などだ。  それらの形状や特徴を画像解析システムにあらかじめ覚えさせ、ディープラーニング(深層学習)などの人工知能(AI)の仕組みを組み合わせることで、使えば使うほど精度が高まるようにした。  装置導入前は、この全量検査をすべて人が行っていた。適性があるためテストに受かった人しか担当できない。目を酷使する作業で、15分に1度程度休んでも、検出精度が落ちるため6時間しか働けなかったという。  新しい検査装置は1台で2人分の能力があり、人のように疲れることもない。ジャム工場全体で5台を導入した。今は人による目視検査を残しているものの、以前は一つのラインに10人以上がついていたのに比べると、検査人員を大幅に減らすことができた。  「IoT(モノのインターネット)などの最新技術を使えば、さらに完全無人化工場を目指せるはず」(藤原祐治生産戦略部長)と、さらに効率化を追求する考えだ。(広島・清水信彦)

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