カメラレンズの加工・検査にAI、“匠の技”継承へニコンの覚悟
ニコンはカメラ用交換レンズの加工や検査に人工知能(AI)を活用する。レンズの研磨や完成品の検査などの工程に、AIを活用した画像認識の技術を取り入れる。2020年度からの適用を目指す。特に高級レンズは精密な加工が必要なため、熟練技能者による“匠(たくみ)の技”が不可欠とされ、映像事業の収益の安定を目指す同社にとって自動化は重要課題の一つ。品質を維持しながら工期短縮やコストを削減するため、最新技術の導入に踏み切る。
20年度からの適用に向け、開発テストに入った。21年度までの中期経営計画中に必要な設備を導入する。導入に向けた設備投資額は非公表。馬立稔和社長兼最高経営責任者(CEO)は「投資を1点に集中させるわけではないが、レンズの生産設備に関するところは重点を置きたい」とし、特に検査工程で「AIやカメラで人の目と同等か、それ以上の判断ができるものを中計中に展開したい」と明かす。
ニコンでは研究開発本部内に設置した専門部署を中心に、AIの活用・適用推進に向けた研究開発に取り組んでいる。外部とも連携しており、分光技術と深層学習(ディープラーニング)を用いて、ジャムなどに混入した異物を高精度に検知する装置をアヲハタと共同開発。19年5月に本格稼働した。
カメラ用交換レンズは、35ミリメートルフルサイズ用や35ミリメートル以上のフォーマット用の出荷金額が上昇傾向にある。また交換レンズ自体、デジタルカメラ市場が縮小する中で依然重要な収益源。ニコンは18年10月に交換レンズ「ニッコール」の累計生産本数が1億1000万本を達成。蓄積してきた多数の「レンズ資産」が競争力の源だ。
業界内では、特に高級価格帯を中心に製造工程の自動化は難しいとする見方が強い。一方で、カメラ市場の縮小や少子高齢化による技術者不足を見据えた施策を欠かすこともできない。
馬立社長兼CEOは「(レンズの製造や完成品の検査は)デリケートな加工・検査を熟練の人が担っている。非常にわずかな変化を捉えなければならない。それをシステムや機械で実現したい」とし、「レンズ部品のリードタイムは長い。その短縮に向けた投資はやっていく」意向を示す。
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カメラメーカーも注目、「工場改革」のキーマン
20年度からの適用に向け、開発テストに入った。21年度までの中期経営計画中に必要な設備を導入する。導入に向けた設備投資額は非公表。馬立稔和社長兼最高経営責任者(CEO)は「投資を1点に集中させるわけではないが、レンズの生産設備に関するところは重点を置きたい」とし、特に検査工程で「AIやカメラで人の目と同等か、それ以上の判断ができるものを中計中に展開したい」と明かす。
ニコンでは研究開発本部内に設置した専門部署を中心に、AIの活用・適用推進に向けた研究開発に取り組んでいる。外部とも連携しており、分光技術と深層学習(ディープラーニング)を用いて、ジャムなどに混入した異物を高精度に検知する装置をアヲハタと共同開発。19年5月に本格稼働した。
カメラ用交換レンズは、35ミリメートルフルサイズ用や35ミリメートル以上のフォーマット用の出荷金額が上昇傾向にある。また交換レンズ自体、デジタルカメラ市場が縮小する中で依然重要な収益源。ニコンは18年10月に交換レンズ「ニッコール」の累計生産本数が1億1000万本を達成。蓄積してきた多数の「レンズ資産」が競争力の源だ。
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