学校用のエアコン需要がアツい

メーカー各社、生産・営業体制を拡充

夏場に備え教室への設置が急がれる(東芝キヤリアのエアコン)

 新年度を前に、学校の教室に設置するエアコンの需要増に対応しようとメーカー各社の戦略が熱を帯びている。政府が熱中症対策として公立小中学校へのエアコン設置に必要な経費として2018年度補正予算に822億円を計上し、各社が生産・営業体制の強化に乗り出した。だが設置作業やメーカーごとに異なる制御方法などが、エアコン普及に対する課題にもなっている。(福沢尚季)  一般的に学校教室には、天井に埋め込むタイプに比べて設置作業が容易な天井につるす形状(天井吊形)のエアコンが使われる。東芝キヤリア(川崎市幸区)は生産に必要な部品を前倒しで調達し、19年度に同エアコンの生産能力を前年度比1・5倍に高める。営業面ではフィルター清掃を1年に1回、熱交換器の掃除を4年に1回に削減できる機能を搭載した機種の拡販を目指す。従来機に比べてメンテナンスの手間とコストが約2分の1になる。寺山英樹取締役執行役員は「体育館向けの空調も併せて提案している」と商機を逃すまいと力を込める。  日立ジョンソンコントロールズ空調(東京都港区)は、例年3―4月の量産開始を1月に前倒した。さらに生産ラインの延長や製品検査スペースの拡張、増員などで天井吊形エアコンの生産能力を同約1・5倍にした。同社は「調達に半年以上かかる部品もあるため、来年度のための部品調達を5月にも始める」と、今後3年間は需要増加が期待できるとして対応を急ぐ。  同社製エアコンの販売を担う日立アプライアンス(同)は、空調機器の運転状態を常に監視し、保守点検・メンテナンスや緊急対応をサポートするサービスなどを売り込む。  三菱電機は、床温度を検知して冷やし過ぎを防ぎ、省エネルギーにつなげる製品の提案を強化している。三菱電機クレジット(東京都品川区)は、初期費用や管理事務作業を軽減できる保守点検・維持管理費込みのリースサービスを展開する。  ダイキン工業は、プラズマ放電の一種であるストリーマが有害化学物質を分解し、エアコン内部のカビやにおいを抑える機能を訴求する。さらに修理受け付けは24時間365日対応にするなど、サービス体制も充実させている。  一方、設置作業や使いやすさの面では課題も残る。ダイキン工業は「平日は授業があるため工事ができる日時が非常に限られる。小中学校は(狭い路地などがある)住宅地に点在することが多く、物流に使えるトラックの大きさも限定される。施工と配送スケジュールのすり合わせが課題」と認識する。そのほか人手不足を背景に「需要が増えても、工事業者の設置作業が追いつかないのでは」と懸念する企業もある。  さらにエアコンの運転制御方法はメーカーによって異なり、複数のメーカー製のエアコンを1台のコントローラーで制御するのは簡単ではない。校内に複数社製のエアコンを設置している場合、各メーカーのコントローラーを個別に操作しなければならない学校もあるという。まずは熱中症対策で需要が増えるエアコンを供給することが急務だが、今後はユーザーの使いやすさを考慮した業界団体などの対応も求められそうだ。

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