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備蓄食料の賞味期限問題よさらば!“日常食に使える非常食”

アサヒグループが提案、家庭やオフィスでも需要高まる
備蓄食料の賞味期限問題よさらば!“日常食に使える非常食”

「ローリングストックBOX」は、お湯を加えるだけで作りたての料理が食べられる(ビーフシチューの調理例)

 西日本で大規模な豪雨災害が起き、復旧に向けた取り組みが進んでいる。豪雨に限らず、地震、台風など、日本は自然の猛威にさらされるリスクが高い。そして被災した後に常に問題になるのがライフライン。特に物流が寸断された場合に、被災地ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどから水や食料品などの物資が枯渇する。

 2011年に起きた東日本大震災などの経験もあり、そんな状況を想定して家庭や職場で非常食などを備蓄するケースが増えている。ただ、いざという時に備蓄した食品の賞味期限が切れていたとしたら、困った状況に陥ってしまう。

 そんな事態を防ごうと、アサヒグループ食品(東京都渋谷区)がNPO法人のプラス・アーツと共同企画したのがアマノフーズブランドの「ローリングストックBOX」だ。お湯を加えるだけで作りたての料理が食べられる、3日分のフリーズドライ食品をセットにした。

 ポイントはローリングストック法に基づいていること。これは日常の食事として消費しながら補充を繰り返すことで非常用の備蓄食に利用する方法。「フリーズドライ商品は賞味期限が1年で、食べて補充する習慣をつけてもらえば、期限切れになる心配はない」(真鍋太郎食品事業本部食品マーケティング部担当課長)と提案する。

 BOX内容は、朝食で雑炊(ぞうすい)とにゅうめん、昼食でリゾットとシチュー、夕食でどんぶりと野菜の汁物というメニュー。1日3回の食事を3日分としてセットにしている。普段使いとして、食事に活用しながら、補充を繰り返す。

 補充用として朝食・昼食・夕食それぞれを個別セットとして販売している。「特に同じ構成にしなくても、好みで商品を選んで補充してもOKで、食べたら補充してもらうことが重要」(真鍋課長)と説明する。

 アサヒグループ食品がローリングストックBOXを発売したのが15年。非常食の定番ともいえるカンパンなどの場合、賞味期限で廃棄したり、食べると飽きてしまったりするのが難点だった。これに対し、フリーズドライ食品はお湯で簡単に作りたての状態にできるのが特徴。非常食として相性が良いことから企画。繰り返して補充することで賞味期限の問題も解消できた。

 さらに「日常食べているモノがいざという時にあれば、安心しておいしく食べられる。被災時のストレスを軽減する効果も期待できる」(同)と企画の狙いを語る。

 また、パッケージデザインも楽しくなるように工夫したという。一般の非常食のように押し入れの奥に入れてしまうのでなく、目に付くところに置いてもらい、日常で使ってもらう狙いからだ。
日刊工業新聞2018年7月23日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
通信販売限定の商品で価格は5000円(消費税込み)。口コミなどで一般の家庭に加えて、オフィスなどの事業所で購入するケースも増えており、着実に販売を伸ばしている。 (編集委員・井上雅太郎)

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