LINEのフェイクニュースを活用した電脳防災って何?

自治体と連携し規模防災訓練

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避難訓練に災害フェイクニュースを活用する
 LINEは電脳防災コンソーシアム(共同代表=山口真吾慶応義塾大学准教授)と共同で、2018年秋をめどに複数の自治体と連携して大規模な防災訓練を実施する。LINEが模擬災害のニュースや警報を流し、市民の避難動向や自治体の応急対応を検証する。すでにいくつかの自治体から内諾を得ており、今後もさらに参加組織を募る。対応事例から問題点を洗い出し、対策を各地自体の災害対応計画に反映させる。

 LINEのメッセージアプリで災害ニュースや自治体からの警報、被災者支援情報を配信し、参加避難者や自治体の対応を追跡する。

 例えば参加者ごとに情報配信の表現を変えて避難行動につながった割合を比較する。同じ災害であっても「事故」あるいは「災害」のいずれで表記されるかで避難の初動が変わることがある。

 メディアの協力を得て災害に関するニュースや誤報、フェイクニュースを作成して配信する予定。それぞれの影響の大きさや情報修正の仕組みが機能するか検証できる。

 避難者が逃げる道すがら周囲を撮影して、LINEに送ると被害状況を大まかに把握することが可能で、市民の協力率と調査精度を検証できる。

 またスマートフォンが機能しないなど通信インフラが停止した地域を再現することも検討中。災害情報を遮断した上で参加者の動きのみを追跡し、模擬的に通信インフラ遮断や部分復旧を再現する仕組みを想定する。

 フェイスブックなどのプラットフォーマーは、ヘイトやフェイクニュースなどのコミュニケーションバイアスについて社会的な責任を問われる場面が増えている。LINEは、いじめや自殺についてSNS上で相談を受ける活動を進めてきた。防災もCSR活動の一環として実施する。

 LINEと防災訓練を実施する電脳防災コンソーシアムには防災科学技術研究所や情報通信研究機構、ヤフーなどが参画し、17年10月に発足した。

日刊工業新聞2018年4月4日

COMMENT

小寺貴之
編集局中小企業部
記者

 熊本と東京、神戸などLINEなら複数の地域からデータが集まります。被災経験地域とそうでない地域で、どの程度防災への練度が違うのか定量的に把握できるかもしれません。自治体や参加者ごとに配信条件を変えてデータを集めて評価したいところですが、自治体数や参加者数によって実施できる条件数が変わるため引き続き参加組織を募るそうです。  自治体だけでなく地方新聞社やテレビ局などの協力も必要です。ローカルな災害フェイクニュースをたくさん作らないといけないです。いくつもシナリオを作り、ニュースの信憑性のグレードを調整して、定量的に効果把握できるようにするのは大変な仕事になると思います。計算社会科学の大規模かつ最先端の実証実験になると思います。研究者は何本論文が書けるかワクワクすると思います。

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