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地銀のIT環境スリム化・DX推進へ、日本IBM・三菱UFJ銀行・IIJの協業の中身

地銀のIT環境スリム化・DX推進へ、日本IBM・三菱UFJ銀行・IIJの協業の中身

地域経済を支える地銀のIT環境を支援する(左から、越智三菱UFJ銀取締役常務執行役員、山口日本IBM社長、村林IIJ副社長)

大型汎用機・分散系など、適材適所で選択可能

日本IBM、三菱UFJ銀行、インターネットイニシアティブ(IIJ)は1日、地方銀行向けに、メインフレーム(大型汎用機)や分散系システム、クラウドなどを適材適所で選択できる共同利用型基盤「金融ハイブリッドクラウド・プラットフォーム」の推進で協業すると発表した。地域経済を支える地銀各行に対して、守りと攻めの両軸でIT環境のスリム化やデジタル変革(DX)などの新たな価値を提供する。(編集委員・斉藤実)

「勘定系のメインフレームや融資などの分散系を含むあらゆるIT基盤を既存のシステム共同化の枠を超え、地銀各行が経営戦略に応じて選択し利用できる」(山口明夫日本IBM社長)のが特徴。

地銀の共同化システムをめぐる商戦は、日本IBMとNTTデータが火花を散らす激戦区。金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームはNTTデータの攻勢への巻き返し策としても注目される。

中核となるメインフレーム共同プラットフォームは三菱UFJ銀、分散系共同プラットフォームはIIJを中心に構築。地域連携のカギとなるネットワーク基盤はIIJが提供する「地銀共同化プライベートネットワーク・バックボーン」を活用する。

プライベートネットワーク・バックボーンは地域金融機関専用の基盤として構築。高いセキュリティーや認証機能を備え、IBMクラウドやアマゾンウェブサービス(AWS)、マイクロソフトのクラウド基盤をはじめさまざまサービスと連携できる。

新展開に向けて三菱UFJ銀は新会社「礎(いしずえ)」を設立。三菱UFJ銀が運用する堅牢なデータセンター(DC)内に共同プラットフォームの専用機としてIBM製メインフレームを設置。日本IBMとの協業により、地銀勘定系システムとして提供する。

日本IBMのメインフレームを利用する地銀システム共同化グループの「じゅうだん会」と「Flight21」のメンバー各行は共同プラットフォームへの参加を決定。三菱UFJの基幹システムをベースとした地銀共同化グループ「Chance」も採用を検討中。また、これらシステムの運用は従来通りにキンドリルジャパン(東京都港区)が担当する。

分散系共同プラットフォームは金融機関に求められる品質や要件を確保し、IIJが運用する拡張性の高いDCから提供する。

山口日本IBM社長は同日、都内で会見し「メインフレームかクラウドかという(二者択一の)議論ではなく、今後は双方を組み合わせた形での成長を目指す」と全体感について言及した。

越智俊城三菱UFJ銀取締役常務執行役員は「高い信頼性が求められる業務はメインフレームを前提に考えている。今回の取り組みを通じて、日本の地域経済の発展や金融システムのさらなる安定化に貢献したい」、村林聡IIJ副社長は「プライベートネットワーク・バックボーンを中心に勘定系を含めた金融システム全体の近代化に大きく貢献したい」と抱負を述べた。


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