野村総研・TIS・SCSK…情報サービスの通期予想、上方修正相次いだ背景
情報サービス7社の2023年4―9月期連結決算が6日出そろい、全社が増収となった。7社のうち野村総合研究所(NRI)、TIS、SCSKの3社が24年3月期連結業績予想を上方修正した。デジタル変革(DX)の機運に伴う法人顧客のIT投資意欲は引き続き堅調で、各社が主力とするシステム構築(SI)事業が伸びる。世界経済減速の懸念がある中、技術者の採用・育成など中長期を見据えた施策も加速できるかが問われる。
NTTデータグループは6日、24年3月期連結業績予想(国際会計基準)を据え置くと発表した。23年4―9月期の当期利益はNTTリミテッドの連結拡大影響に伴う金融費用の増加などで減益となった。米ドルを中心とした金利の上昇に伴う支払い利息の増加を抑制するため、変動金利による借入金を固定金利に借り換えるなどの対策を講じる。本間洋社長は「国内事業は堅調さを維持している。全社で通期予想を達成したい」と述べた。
10月10―11日に発生した銀行間送金システム「全国銀行データ通信システム」の障害によるNTTデータグループの業績への影響について、国内事業会社のNTTデータの佐々木裕社長は「まだ見通せていない。再発防止に向けた俯瞰的な検討を最優先に進めている。(賠償などは)全国銀行資金決済ネットワークと協議の上で検討したい」とした。
NRIは24年3月期連結業績予想の売上高を期初公表比150億円増の7350億円(前期比6・2%増)、営業利益を同30億円増の1200億円(同7・3%増)に引き上げた。海外事業がIT投資の抑制で下振れするものの、国内事業はDX案件の大型化や生産性の改善で上振れし、海外の落ち込みをカバーする。
TISは23年4―9月期で幅広い顧客からのIT投資需要を取り込んだ増収効果による利益増が人材などへの成長投資を吸収して前年同期比で営業増益を達成。「通期計画達成に向けて順調に折り返せた」(河村正和執行役員)。24年3月期連結業績予想は売上高を期初公表比60億円増の5360億円(前期比5・4%増)、営業利益は同10億円増の645億円(同3・5%増)に上方修正した。
SCSKの23年4―9月期は、自動車業界向けのシステム開発や検証サービスの拡大などが奏功し「上期としては過去最高の売上高と営業利益」(岡恭彦執行役員常務)となった。24年3月期連結業績予想は売上高を期初公表比50億円増の4750億円(前期比6・5%増)、営業利益は同25億円増の565億円(同10・0%増)に引き上げた。
3カ年の中期経営計画の最終年度である26年3月期の営業利益目標650億円についても「受注動向を踏まえて各事業グループと対話し、650億円以上を目指したい」(当麻隆昭社長)とした。