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AI技術でスタートアップ融資、三菱UFJが検討開始

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、国内のスタートアップを対象に人工知能(AI)を使った融資を行う検討を始めた。イスラエルのリクイディティーキャピタルが持つAI技術を用いてアジアを中心としたスタートアップに融資しているファンド「マーズ・グロース・キャピタル」を日本企業向けにも行う。

スタートアップは事業拡大に向け資金調達が不可欠だ。ただ、収益が赤字の企業が多く、金融機関からの融資を得にくい。マーズ・グロース・キャピタルはこうしたスタートアップの企業データをAIで分析することで融資に向けた評価を行えるモデルを構築している。

例えば、SaaS(ソフトウエアのサービス提供)型のITスタートアップのユーザー数や従業員数の動向など各データをモニタリングし、融資を続けるかどうかを決める。経営状況に変化が生じる兆候が見られた際に経営者に指摘することもできるため、「こうした面で経営者を支援できることも評判を得ている要因だ」(亀沢宏規社長)。国内でも需要が見込めることから日本に“逆輸入”する方針だ。

三菱UFJ銀行は2020年8月、イスラエルのフィンテック企業、リクイディティーキャピタルと合弁契約を結び、アジアを中心としたスタートアップに融資するファンド「マーズ・グロース・キャピタル」を設立した。

同年12月に1号ファンド、22年1月に2号ファンドを立ち上げており、ファンド総額は5億ドル(約650億円)。融資申込件数は累計700件超、融資契約調印済みの企業は24社に達している。

日刊工業新聞 2022年12月23日

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