ＪＶＣケンウッドは宇都宮大学の熊谷幸汰助教らと共同で、手のひらサイズの立体的な映像（体積映像）を高精細に実世界に直接表示できるディスプレーシステムを開発した。ユーザーの手の動きに合わせて映像を操作できるインタラクティブ（双方向）性も備える。今後、より複雑な形状の物体を体積映像として表現できるディスプレーシステムの実現を目指す。

開発したシステムは、画素を実世界に体積的に生成して映像を描画する技術「ボリュメトリックディスプレー」の一種。ヘッドマウントディスプレー（ＨＭＤ）のような機器を用いずに、全方向から複数人が３次元（３Ｄ）映像を見られる。

今回の研究では二つのレーザー描画を連携動作するディスプレーシステムと、ＪＶＣケンウッドの反射型液晶デバイス（ＬＣＯＳ）を用いた描画法を開発した。１０センチメートル角の体積中に発光点を立体的に生成し、映像として表現する（イメージ）。

描画パターンをシステムに入力することで任意のパターンを描ける。外界の動きを認識して体積映像の描画に反映させるシステムを構築することで、ユーザーが映像をリアルタイムに操作できるようにした。

園田剛男ＪＶＣケンウッド取締役常務執行役員最高技術責任者（ＣＴＯ）は「１０センチメートル角の体積中に、これまでにない高精細な映像を立体表現することを実現した。幅広い分野での活用が期待される」と話す。