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JVCケンウッド社長・江口祥一郎氏/成長事業に技術シフト

虎視 勝ち筋探る車部品#16

―2022年度は中期基本戦略の2年目です。
 「数値目標を大きく変えることはないが、キャッシュアロケーション(配分)を見直す可能性はある。3年間で成長事業への戦略投資などに200億円、通常投資に600億円を充てる計画だが、戦略投資は200億円を超える見込みだ。変革と成長を進める上で、戦略投資の枠は増やさないといけない」

―通信型ドライブレコーダーを活用したテレマティクスを成長分野に見込みます。
 「足元では損害保険会社向けが好調。ドラレコで得られるデータを元に、道路診断や運転支援などのサービス展開も企画している。まだ見えない部分もあるが、発展性はある」

―カメラや車載用CD/DVDメカ事業などが課題です。
 「収益基盤を固めるためには課題事業に手を付けざるを得ない。民生用ビデオカメラ生産から撤退し、その技術をドラレコなどの成長事業にシフトする。車載用メカや(CDやDVDを再生、記録するための)光ピックアップについても供給責任を果たした後、生産販売を終える」

―モノづくり改革も進めています。
 「サプライチェーン(供給網)マネジメントへの投資をしていく。半導体不足をきっかけに改革の必要性は高まった。自動化など、工場の設備投資も前倒しで進めたい」

*取材はオンラインで実施。写真はJVCケンウッド提供

【記者の目/変化への対応力を着々と】
 部品不足が続く中、製品の設計変更をすることで工場の稼働率を上げるなど、厳しい状況を工夫で乗り切っている。テレマティクス事業に注力する一方、保有している音楽などのコンテンツや知見を生かしメタバース(仮想空間)でのビジネスチャンスも探る。厳しい環境下、変化への対応力を着々と高めている。(江上佑美子)

日刊工業新聞2022年3月3日

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