「人と同じ動きを再現できる」…芝浦機械が開発、16軸双腕型協働ロボットの実力
安全柵が不要で、人と同じ空間で作業ができる協働ロボット。人手不足などを背景に需要が高まる中、芝浦機械は新機軸の協働ロボットを打ち出した。産業用ロボットは単腕型で6軸の垂直多関節ロボットが主流だが、同社は双腕型で軸数が計16軸もの協働ロボットを投入し、提案を本格化している。
開発した双腕型協働ロボット「RIDRS(ライダース)ーH」は、片腕7軸(両腕14軸)、腰2軸の計16軸で構成する。人の腕の関節と同じ軸数で、対象物の持ち替えなどの作業を容易にした。腰には回転と曲げ伸ばしの2軸を備え、伊藤雅文常務執行役員は「両腕で対象物を持ったまま振り返るなど、人と同じ作業スペースで、人と同じ動きを再現できる」と自信を示す。
可搬質量は片腕6キログラム、両腕で10キログラムで重可搬仕様とした。2023年11月に東京都内で開かれたロボット見本市「2023国際ロボット展」では、自動車のバンパーを持ち上げ、別のロボットと連携してバリ取り作業をした後、右腕に備えた照明と左腕のカメラで外観検査する一連の動作を実演した。開発担当者は「人と同じスペースで作業が可能で、既存の検査ラインを組み替えることなく導入できる」とし、実用性を徹底追求した。
軸数が計9軸の双腕型協働ロボット「RIDRS―S」も開発した。片腕4軸(両腕8軸)、腰1軸で構成し、腕と腰の回転軸は独立した構造とした。片腕4軸で水平多関節(スカラ)ロボットと同様の動きをしながら、腰軸の回転で背面の対象物を配膳するなど、空間を360度生かした作業ができる。人が狭いスペースで振り返って作業するような動きが可能で、適用範囲や用途を広げた。
一方、軸数が増えると複雑な動きが可能だが、操作は難しくなる。ライダースでは3次元(3D)シミュレーターや動作パターンを画面上で組み合わせてプログラミングする機能などを採用。協働ロボットの安全認証も取得し、「使いやすさにも徹底してこだわった」(伊藤常務執行役員)。