工作機械4社の8月受注額7%減、6カ月連続マイナスに
日刊工業新聞社が11日まとめた工作機械主要4社の8月の工作機械受注実績は、前年同月比7・3%減の299億1000万円となり、6カ月連続で前年を下回った。前月比では5・1%増と、3カ月ぶりに増加に転じた。需要に底堅さはあるが、金利の引き上げやインフレの影響、景気の先行き不透明感などから、国内外で設備投資を様子見する動きが続いているようだ。
4社合計の国内は前年同月比22・3%減となり、10カ月連続で前年を下回った。一方、輸出は同1・0%増と4カ月ぶりに増加した。前月比では国内が3・5%増と2カ月連続で増加し、輸出は5・8%増と3カ月ぶりに増加した。
オークマは国内の受注でユーザーが設備投資を様子見する影響を受けるが、サプライチェーン(供給網)見直しに伴う「国内回帰の動きも見られる」(営業部)とした。海外では米国で中小企業を中心に金利上昇などに伴い設備投資に慎重姿勢が見られる一方、大手企業では航空機向けなどで受注の動きがあった。
牧野フライス製作所は、国内で一般機械向けなどの需要が堅調だった前年と比べ減少した。海外は地域間で大きな変動はなくほぼ想定通りに推移。不動産市況の悪化などが懸念される中国での景気減速の影響は「足元の受注に影響はないが、今後の動向を注視していく」(経営企画室IRチーム)とした。
芝浦機械は「エネルギー関連向けで受注は堅調に推移したが、産業機械向けが減少した」(広報・IR部)。精密加工機は国内や韓国で光学向けの受注を伸ばした。
中国市場に強いツガミは前年同月比で輸出が8カ月ぶりに増加した。同社幹部は中国市場について「受注の底打ちは感じられるが、9月以降の動向を注視したい」としている。
7―8月の受注動向について牧野フライス製作所は「受注が底打ちしたとは判断していない」(経営企画室)とし、オークマは「7、8月を底に受注が反転してくれれば」(営業部)と慎重な見方を示した。
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