「ランクル」「ヴォクシー」採用部品の素材で日用品開発、トヨタ車体の狙い
トヨタ車体は間伐材を配合した樹脂素材「TABWD(タブウッド)」の周知に向け、同素材を使用した日用品の開発・宣伝に力を注いでいる。皿やコップ、ハンガー、いすの背もたれなどが代表的な製品だ。車両生産を手がけるトヨタ車体の事業イメージとは異なるが、れっきとした同社の取り組み。環境負荷の低い材料として広く訴求し、自動車業界の枠を超えて認知向上を図る。
タブウッドはスギの間伐材を粉砕し、樹脂と溶融混練して製造する。軽くて強度が高く、熱にも強いのが特徴だ。森を健全に育てるには木の剪定(せんてい)が必要で、間伐材が発生する。この間伐材を有効利用することで、二酸化炭素(CO2)排出削減に寄与する。
同社は20年以上にわたり植物材料を研究している。タブウッドは自動車部品の「ワイヤハーネスカバー」や「フォグランプブラケット」などに採用。同社で生産するミニバン「ノア」や「ヴォクシー」、スポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー」などに搭載されてきた。
同社材料技術部植物材料技術室技術開発グループの前田佳宏主担当員は「取引先の部品メーカーにタブウッドを購入してもらい、部品を製造してもらう。それを当社で組み立てることでカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)やサーキュラーエコノミー(循環経済)につながる」と期待する。
一方で「使われてなんぼ」と前田主担当員が語るように、知名度の点で課題があると認識。そこで日用品など向けの提案も始めた。皿などのテーブルウエアのほか、3月からオフィス家具メーカーのオカムラといすの共同開発にも取り組んでる。「まず知ってもらうこと」(前田主担当員)を優先し、広報・宣伝活動に力を入れる。
【関連記事】 トヨタグループも頼りにする異能の変革集団
日刊工業新聞 2024年06月24日