大型・中型トラック販売、4カ月連続プラスの背景
日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた5月の大型・中型トラック(登録車種「普通貨物車」から積載量1―2トンの台数を除いたもの)の販売台数は、前年同月比11・8%増の5217台となり、4カ月連続で前年同月実績を上回った。前年同月にあった半導体不足などによる生産制約の状況から回復。2024年初から課題となっていた架装メーカーの生産能力不足によるリードタイムの長期化傾向も改善しつつある。
UDトラックスを除く3社が前年同月比で伸びた。UDは部品の調達先が他社と異なり、前年同月に半導体不足の影響を他社ほど大きく受けず、その「反動」もマイナスに作用した。
日野自動車は前年同月比38・4%増と大きく伸長。出荷停止中の大型・中型エンジンについては「慎重に開発対応を進めており、(6月7日時点で)劣化耐久試験は始まっていない状況」(日野自)。今後の一層の販売回復に向けて、認証再取得の時期が焦点となる。
いすゞ自動車の山口真宏取締役専務執行役員は、架装メーカーの生産能力不足によるリードタイム長期化について「影響が完全になくなったわけではないが、それなりに落ち着いている」とした上で「(元々ある)人手不足の問題などで架装のキャパシティーそのものがかつてのように戻らない。(トラックの)作り方、売り方を工夫することで影響を最小化する」と話す。
国内市場は大幅な需要増が見込みづらい。経済成長でトラック需要が増える新興国での拡販に加え、物流の脱炭素化がより強く求められる欧米での電動化戦略、自動運転対応といった先進技術をいかに磨けるかが各社の成長のカギになりそうだ。
日刊工業新聞 2024年6月12日