日野自動車が米の部品事業から撤退する背景事情
日野自動車は米国の自動車部品事業から撤退する。現地子会社の日野モータースマニュファクチャリングU.S.A.でトヨタ自動車の現地法人向け部品を製造するアーカンソー工場(アーカンソー州)の、2027年末までの閉鎖を決めた。現地では原材料費や人件費上昇でコストが収益を圧迫。部品事業の24年3月期の営業損益は295億円の赤字だった。米国はトラック事業に専念し収益改善を図る。1300人の従業員は期間満了時に雇用を終了する。
アーカンソー工場は06年10月の操業。トヨタのピックアップトラック「タコマ」、同「タンドラ」、スポーツ多目的車(SUV)「セコイア」向け足回り部品などを生産している。24年3月期の同工場の生産実績は42万9380ユニットだった。生産設備や建屋について、売却など今後の活用方法を現地政府と協議する。
雇用終了となる従業員には「賃金、健康保険、再就職支援、期間満了ボーナスなどを含む処遇について誠意をもって検討する」(日野自)という。
日野自は22年3月に公表したエンジン認証不正の影響で業績が低迷し、24年3月期の営業損益は81億円の赤字だった。事業の選択と集中で収益改善を目指す。
日刊工業新聞 2024年06月03日