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物材機構など発見、「ネオジム磁石」超え得る磁石化合物の正体

物材機構など発見、「ネオジム磁石」超え得る磁石化合物の正体

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物質・材料研究機構(NIMS)のアンガヤカニ・ラマムティ・ディリパンNIMSジュニア研究員・筑波大学大学院生と高橋有紀子グループリーダーらは、ネオジム磁石を超え得る磁石化合物を発見した。サマリウムと鉄、窒素で構成され、資源リスクが小さい。異方性磁界などの物性値はネオジム磁石を超えた。今後、大量生産と磁石への成形技術を開発していく。

テルビウム銅7型の結晶構造を持つサマリウム鉄化合物を開発した。サマリウム原子を鉄の原子対に置き換えて鉄の割合を増やして磁化を高める。スパッタで単結晶薄膜を作製すると、サマリウムと鉄、窒素が1対8・8対1・1の磁石化合物の特性が優れていた。

異方性磁界は22テスラ、飽和磁化は1・64テスラ、原子磁気の方向がバラバラになるキュリー点は770ケルビンだった。ネオジム磁石の主成分ネオジム鉄ホウ素を超えており、強力な永久磁石になる可能性がある。

電気自動車(EV)などの高温で出力が必要なモーター用磁石はジスプロシウムの資源リスクがあった。現在は単結晶で物性を確かめた段階。工業生産に向くか検証していく。

日刊工業新聞 2024年06月03日

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