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基板配線の面積10分の1以下…プレモ、チップ間ワイヤレス接続

基板配線の面積10分の1以下…プレモ、チップ間ワイヤレス接続

プレモはチップの配線を少なくし、小型デバイスの実現を目指す(デバイスのイメージ)

東京大学発スタートアップのPremo(プレモ、東京都文京区、辻秀典最高経営責任者〈CEO〉)はチップ間の接続をワイヤレスで行う独自技術を使ったシステムオンチップ(SoC)を開発した。今後、同チップを改良し、2025年にも概念実証(PoC)を実施して、実用化を目指す。既存の半導体と比較し、基板配線の面積を10分の1以下にできるほか、基板部品を減らせるため小型化や製造コスト、環境負荷低減につなげる。

プレモは東大大学院の入江英嗣教授が開発した技術をベースにする。チップの周辺にパルスを送信・受信できるコイルを配線する。コイルによるワイヤレス接続でチップ同士のデータをやりとりする。チップ同士を接続する配線や部品が少なく済むため、小型軽量化できる。このチップを複数個並べて、デバイスを作る。今回開発したSoCの製造は、台湾積体電路製造(TSMC)に委託した。

プレモはデバイスを小型軽量化できる特徴を生かし、従来はデバイスを設置できなかった箇所でデータを取得するのに使う。例えば、鉄道線路上にデバイスを設置して異常検知するなどの用途を想定する。

プレモは今後、PoCを通じて性能や耐久性を検証。改良を加えながら、実用化を目指す。また、センサーやメモリー、電源ICなどのメーカーにワイヤレス接続技術を活用してもらうことも目指す。

日刊工業新聞 2024年05月20日

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