「半導体」回復には時間必要も…半導体装置7社中6社が営業増益を計画
半導体製造装置7社の2025年3月期連結業績予想は、芝浦メカトロニクスを除く6社が営業増益を計画する。24年3月期はロジックやメモリーなどで投資が低迷したが、25年3月期はスマートフォンの需要回復や生成人工知能(AI)向けの旺盛な需要を取り込む。半導体投資は24年後半以降の回復を見込む。
好調な連結業績予想の背景は、DRAMを複数積層する「高帯域幅メモリー(HBM)」など、AI向けの需要だ。東京エレクトロンは25年3月期の売上高で前期比20・2%増、営業利益で同27・6%増を見込む。HBMの増産に加え、パソコン・スマートフォンの需要回復に呼応して、NANDやファウンドリーの投資回復を見込む。将来の成長機会を取り込むため、2500億円を研究投資に投じる。
アドバンテストも増収営業利益増を見込む。三橋靖夫経営執行役員は「HBMなど、今後技術が進化していく中、高性能なテストの需要が高まってくる。付加価値の高い製品の提供で、収益性の改善につなげる」と期待を寄せる。「複雑なデバイスが増えることでテスト需要は高まる」(関係者)とされ、AI向けの需要増は同社にとってプラスになる。
ディスコは「スマホやパソコン向けの需要回復の時期は見通せない」としながらも、生成AIやパワー半導体関連の需要が強く、四半期最高水準の出荷が続く見込みだ。
KOKUSAI ELECTRICは25年3月期下期には中国以外の各国で最先端向け装置の需要が高まると見る。金井史幸社長は「下期にはDRAMとロジックが立ち上がる」と想定する。
一方、半導体の全体から見れば、AI向けの生産割合は少ない。業界では「24年後半」の投資回復が既定路線だが、高千穂交易の市川大輔執行役員は「アナログやパワー半導体関連は24年中は調整局面」と見る。半導体不足の際、過剰発注した顧客が多く、在庫消化に時間を要している状況だという。今後は「25年以降に需要全体が戻ってくるだろう」(市川執行役員)。
25年3月期も引き続き最先端品はAI向けの需要が引っ張る形だが、アナログ向けなど、半導体全体の回復には時間を要しそうだ。
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