三菱ケミカルGが半導体精密洗浄事業で攻める。ドイツで5割能力増
三菱ケミカルグループは半導体分野の精密洗浄サービス事業を強化する。欧州では半導体工場の建設が相次いで決まるなど市場が拡大している。そこでドイツの事業拠点で半導体用の精密洗浄能力を現状比5割拡大したほか、中長期的な生産動向を見て追加投資も検討する。また日本や米国では半導体製造装置向け洗浄サービスを本格化する。2024年下期以降の市況回復をにらみ、事業体制を拡充して市場を深耕する。
ドイツ国内の半導体需要増を受け、独ドレスデン拠点の洗浄能力を引き上げ、順次稼働する計画。欧州では米インテルがドイツに330億ドル(約4兆9000億円)を投じて新工場を建設する方針を公表。さらに同社はポーランドにも46億ドルで工場を設けることを決めた。旺盛な新規投資の動きを踏まえ、精密洗浄ニーズが高まるとみており、三菱ケミカルグループもドイツへの追加投資の可能性を探る。
一方、日本や米国などでは精密洗浄に付加価値を付けて差別化するため、半導体製造装置向けサービスを積極化する。今後、洗浄のカスタマイズ力を訴求し、顧客ニーズにきめ細かく対応する。
同社は半導体関連の一貫したソリューション提供に力を入れている。精密洗浄に加え、半導体材料もソリューションビジネスの一つだ。半導体材料については、窒化ガリウム(GaN)基板はレーザー向け2インチウエハーを拡販し25年に現状比4―5割増の出荷を目指す。パワー半導体向けの4インチウエハーもサンプルワーク(試作品の提供・評価)に取り組む構えだ。これら半導体関連の一連のビジネスで事業成長につなげる。
日刊工業新聞 2024年03月26日