半導体装置部品の生産能力2倍、ニッパツが長野・宮田工場を追加増強
ニッパツは2026年度までに、半導体製造装置部品を生産する宮田工場(長野県宮田村)で追加の生産能力増強に着手する。宮田工場で現在進めている増強分が24年秋に稼働すると伊勢原工場(神奈川県伊勢原市)と合わせた生産能力は最大で現状比5割程度増える見通しだったが、将来の需要を見据えて一段の生産能力拡大が必要と判断した。宮田工場追加増強の投資額は60億円超になるとみられる。完了すれば生産能力は最大で現状比約2倍に高まる。
ニッパツは懸架バネやシートなど自動車向け事業が主力。半導体製造装置部品を含む産業機器事業は23年3月期売上高が前期比9・7%増の1131億円で、連結売上高に占める割合は16・3%。だが営業利益は連結営業利益の4割以上を占めており、成長事業と位置付けている。
伊勢原工場と宮田工場で、成膜装置やエッチング装置などの半導体製造装置の均一な加熱や冷却を可能にするヒーターや冷却板、ガスの散布に必要なシャワーヘッドといった重要部品を生産している。いずれも内部に複雑な構造を持ち、アルミニウムなどの金属材料を高気密に接合してつくる。
22年に着工した宮田工場の増築部分が24年秋に稼働する計画で、建屋と設備を合わせた投資額は50億―60億円程度となる見通し。半導体市況は足元で低迷しているものの、長期ではさらに需要が増えるとみており、24年度から始まる3カ年の新中期経営計画の期間中に追加の増強に着手する。
増強の詳細は今後検討するが、設備や資材の高騰もあり、投資額は現在の増強分を上回る規模となる可能性がある。
日刊工業新聞 2024年03月15日