はつり、高圧水で安全に…国交省が認めた「推奨技術」の中身
ノズル自動制御・品質確保
国土交通省は画期的な工事手法で公共工事の技術水準を高める「推奨技術」に、コンクリート床版のはつり作業を安定的に行う「ウォータージェットはつり処理工法」を選定した。この技術は大量の超高圧水を機械に保持させ自動制御のノズルから安定的に噴射することで、熟練工の人力作業に頼っていた高いレベルのはつり作業を安全な環境下で可能にした。
インフラ保守メンテを行うキクテック(名古屋市南区)、久野製作所(福島県二本松市)、第一カッター興業の3社が開発した技術。久野製作所が製造するコンクリート除去処理装置「ジェットマスターJMK2100」を使用する。
ウオータージェットによるコンクリートのはつりは、振動や衝撃が少ないため内部のひび割れを防ぎ鉄筋を痛めないなどメリットは大きいが、人がハンドガンで作業するため力量によって品質にバラつきがでる。また、作業者は飛散養生された中でコンクリート片や噴射水の跳ね返りを受けながら、危険で劣悪な環境下での作業となる。
今回、開発した技術では機械に大量の水を保持することで人力作業と比べ約10倍の施工能力がある。機械が等速走行や反復運動を行うため、作業者の力量を問わず一定の品質が確保できる。作業環境も大きく改善され、非常時には機械を緊急停止できるなど作業者は安全な環境で工事ができる。
国交省は新技術情報を共有するためのデータベース「NETIS」を運用しており、この中から定期的に外部有識者の審査を経て画期的な新技術を選定している。推奨技術は今技術で6件目。準推奨技術など9件も選んだ。
日刊工業新聞 2024年05月17日