世界最大流量・世界最高圧で試験成功…酉島製作所が開発した液化水素ポンプの性能
酉島製作所は商用化可能な液化水素ポンプを開発した。このほど宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県能代市)で1時間当たり30・5立方メートルの世界最大流量と、圧力1・6メガパスカル(メガは100万)の遠心ポンプによる昇圧量で世界最高圧での試験に成功。グリーン水素製造の実証プラントなどからの展開を想定するが、製造、輸送、利用の各工程で幅広い需要が見込める。2031年3月期に国内外の水素ポンプで売上高100億円を目指す。
日本は水素基本戦略で30年に最大で年300万トン、40年に同1200万トンなどの水素導入目標を掲げている。水素の需要拡大に合わせ、同社は27年度に1時間当たりの流量が約244立方メートル、26年度に圧力約4・8メガパスカルと一層の大流量・高効率の水素ポンプ開発を計画する。
同社は高温超電動モーターを利用してモーターの発熱を低減し、マイナス235度Cの液化水素の気化を抑えることに成功。低密度の液化水素でも効率的に運搬でき、供給コストの大幅低減が見込める。
原田耕太郎最高経営責任者(CEO)は水素ポンプ市場について、一例として「川崎重工業が水素関連で30年度に3000億円の事業規模を目指しており、そのうちポンプへの投資額は90億円ほどと見ている。魅力的なマーケット」とする。
日刊工業新聞 2024年04月16日