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蓄電池製造装置の生産増強、「共同受注」補助要件にする経産省の狙い

経済産業省は電気自動車(EV)などに使う蓄電池の製造装置メーカーが生産増強投資する際の補助事業について、近く公募を始める。複数の企業が連携し、共同受注や仕様の共通化などを進めることを支援要件とする。日本の装置メーカーは工程ごとに細分化され、蓄電池メーカーが個別発注しているため、すり合わせなどにコストや時間を要している。共同受注体制を整えることでこうした課題を解消し、産業競争力強化につなげる。

経済安全保障推進法に基づく安定供給確保のための支援対象に、蓄電池製造装置を新たに加えた。月内をめどに公募を開始する計画だ。支援には2023年度補正予算で計上した2658億円の一部を充てる。

支援対象はリチウムイオン電池(LiB)の製造装置で、電極形成工程やセル組み立て工程、セル検査工程を想定。工程ごとに蓄電池メーカーからの受発注窓口となる取りまとめ企業を定め、同企業が各工程に関わる複数企業を束ねる方式とする。連携体制のほか、生産開始から5年以上の生産継続なども求める。

生産拡大のための設備投資に加え、デジタル変革(DX)やグリーン・トランスフォーメーション(GX)の手法を活用した先端蓄電池製造技術や、製造基盤を確立するための技術の開発も支援する。補助率は設備投資が事業費の最大3分の1、技術開発が同2分の1を予定する。

日本の製造装置メーカーは高い技術力を強みとするが、乾燥やプレスなど工程ごとに企業が細分化されている。一方、中国や韓国のメーカーは複数工程を一括で手がけることで、コスト低減や納期短縮などにつなげている事例がある。

経産省は支援事業で装置産業の国際競争力を高めつつ、装置生産を拡大し需要増に備える方針だ。

日刊工業新聞 2024年3月19日

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