生産能力増強追いつかない…経産省が「蓄電池メーカー」支援へ
経済産業省は蓄電池の製造装置メーカーを支援する方向で検討に入る。蓄電池の製造装置メーカーは約9割が中小企業とされ、投資余力が乏しく、急速な生産能力拡大に追従できない恐れが生じている。中韓メーカーの台頭で、経済安全保障上の懸念が高まっていることもあり、新たに製造装置メーカーを支援対象とし、国内の蓄電池製造基盤を固めたい考えだ。
設備投資の補助を想定しており、2024年度概算要求で関連予算を計上する方向だ。
電極に活物質を塗る工程や、電極を積層したり捲回したりする工程など蓄電池製造には多様な工程があり、中小企業が製造した装置が多く使われている。技術的に重要な工程を洗い出した上で検討を進める。大手では芝浦機械と日本製鋼所が扱っている。
経産省は22年に蓄電池産業戦略を策定し、30年までに国内の蓄電池生産能力を現状比7倍の150ギガワット時とする目標を掲げた。21年度補正予算や経済安全保障推進法に基づく基金で計約4300億円の予算を計上したが、蓄電池メーカーや関連材料メーカーが対象。
経産省は装置メーカーが蓄電池の生産拡大に追いつけないと、蓄電池産業を固める上でボトルネックになる恐れがあるとみている。
電池サプライチェーン協議会(BASC)によると、蓄電池用設備の世界市場は22年に約1兆4000億円で今後も拡大する見通し。最近は中国や韓国メーカーの攻勢で日本メーカーのシェアは3%にとどまる。
電池メーカーが生産能力を拡充する中で「装置メーカーの供給能力不足が目の前の課題だ」(電池メーカー幹部)という。
BASCによると、国内装置メーカーの価格が従来の1・5倍、納期が従来の2倍以上になったケースもある。「韓国メーカーの依存度を上げざるを得ない電池メーカーもある」(同)という。
日刊工業新聞 2023年月4月25日