トヨタEVには1178億円、経産省が助成する「蓄電池・半導体」生産計画の中身
経済産業省は国内で蓄電池や半導体、産業用ロボットなどの生産基盤を強化する企業に対し、総額2198億円を助成する。このうちトヨタ自動車が実施する電気自動車(EV)など車載用蓄電池の国内投資に最大1178億円を支援する。サプライチェーン(供給網)を強靱(きょうじん)化し、安定供給基盤を確保するとともに、産業競争力強化につなげる。
蓄電池分野は蓄電池1件、部素材6件の計7件の計画を認定した。トヨタ自動車は豊田自動織機と共同開発する新構造のバイポーラ型リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)の量産などに総額3300億円を投じる。2026年10月以降、順次生産を開始する。生産能力は現在の日本国内全体の生産能力を上回る年間25ギガワット時を計画する。
半導体分野は製造装置1件、部素材3件、原料4件の計8件の計画を認定し、最大約550億円を助成する。キヤノンは栃木県と茨城県の国内2拠点で半導体露光装置の量産に333億円を投じる計画で、経産省は111億円を支援する。
工作機械・産業用ロボット分野はファナックなど計3件の事業計画に約304億円を助成する。同分野の計画認定は今回が初めて。心臓部にあたる制御関連機器の国内生産能力の強化につなげる。
クラウドプログラム分野ではさくらインターネットの計画を認定した。生成人工知能(AI)の開発に欠かせないスーパーコンピューターの利用環境整備に約68億円を助成する。演算能力は産業技術総合研究所が持つ国内最大のAI用スーパーコンピューターの約2・5倍に相当する。
政府は経済安全保障推進法に基づき蓄電池、半導体など11分野を「特定重要物資」に指定した。経産省はEV向けなど需要が拡大する蓄電池分野について22年度補正予算で3316億円を計上。4月に認定したホンダとGSユアサの事業計画などを含め、これまでに同分野で約3122億円の助成を決めた。
経産省は30年までに蓄電池の国内生産能力を現状比約7倍の150ギガワット時にする目標を掲げる。西村康稔経済産業相は「トヨタなどの大規模投資で蓄電池分野の大幅強化につなげたい」と述べた。
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