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「陳列事業」で注目された化粧品類の販売業社、倒産を引き寄せた“無謀な計画”

「陳列事業」で注目された化粧品類の販売業社、倒産を引き寄せた“無謀な計画”

※イメージ

テックアットは、2019年10月に設立された化粧品類の販売業者。一般的な小売店とは異なるスタイルでスタートした。店舗のスペースを顧客となる企業へ月額で貸し出し、さらに店舗内に置かれた商品の売り上げに応じて販売手数料を受け取る「陳列事業」というビジネスモデルだ。

コスメやスキンケアなどの美容体験型セレクトショップとして、店内にはパウダールームやシャンプー台が併設されていた。このビジネスモデルは、米国でも注目されていたとされ、同社にとっては在庫を抱えるリスクがなくなる。陳列する企業にとっては、広告宣伝費より安価で、実際に消費者に商品を試してもらう場をつくることができるメリットがあった。店舗は各メディアで紹介され、若者世代を中心に知名度は高まっていった。

積極的な店舗拡大の一方で、店舗では売れる商品と売れない商品の差がはっきりと表れるようになっていた。同社の顧客は、市場であまり知られていない新興メーカーが大半を占めていた。売れない(と分かった)商品のために月額で発生する陳列料を嫌い、顧客離れが目立つようになった。そこで顧客離れを防ぐため、6カ月―1年間の費用を前払いしてもらう代わりに、商品が売れなかった場合は当社がそれを買い取る「売上保証」に打って出た。

しかし、顧客のつなぎ留め・獲得は計画通りに進まず、結果的に陳列された製品を当社で買い取る事案が多発。ついに行き詰まり、東京地裁へ自己破産を申請した。資金繰りが厳しい状況下で、売上保証を行うこと自体が“無謀な計画”だったが、そもそも顧客企業とのトラブルは絶えなかったと聞かれる。

同社のように成長を急ぎ過ぎて内部体制の構築が追いつかず、厳しい状況に追い込まれるケースは多い。勢いがある会社ほど、資金繰りが忙しくなっている場合もある。本件も結果的に、多くの債権者を巻き込む倒産となった。(帝国データバンク情報統括部)

日刊工業新聞 2024年02月01日

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