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投資詐欺・親族間の不和…地元愛に満ちた「地域紙」発行会社、破産の顛末

投資詐欺・親族間の不和…地元愛に満ちた「地域紙」発行会社、破産の顛末

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埼玉県・飯能地域で印刷業を手がけていたブラウズは6月20日にさいたま地裁川越支部より破産手続き開始決定を受けた。同社は1996年に設立された印刷業者。関連の文化新聞社は『文化新聞』の発刊を、ブラウズは『文化新聞』印刷のほか、企業、官公庁からの各種広報誌やパンフレットの印刷業務を手がける体制で、00年5月にはブラウズ代表に佐藤智子氏が就任、2社は親族による一体となった経営を行っていた。

『文化新聞』は50年創刊の地域日刊紙で、地元飯能市、日高市のトピックや読者の投稿が掲載され、地元愛にあふれた紙面が特徴。しかし、文化新聞社はバブル期の不動産投資に失敗、親族などからの借入金が膨らみ厳しい経営が続いていた。これが親族間の不和につながる。ブラウズに対して文化新聞社の支払いが滞ったままだったことから、文化新聞社はブラウズから破産手続きを申し立てられ、20年3月にさいたま地裁川越支部より破産手続き開始決定を受けた。これを機に『文化新聞』の発行はブラウズが承継した。

ブラウズは文化新聞社に対する貸倒損失を計上したことで2期連続の大幅赤字を計上、債務超過に転落したが、22年3月期で黒字確保。ようやく膿(うみ)を出し切ったところで、よもやの事態が発生する。23年に入り、佐藤代表が投資詐欺にあい、会社の資金延べ5400万円をだまし取られてしまう。仕入れ先への支払いが滞ったほか、社員への給与も未払いとなってしまい、事業継続を断念することとなった。社員にとっては寝耳に水。こんな理由で『文化新聞』の歴史に幕を下ろさざるを得なかったスタッフの無念はいかばかりであっただろうか。

それから3カ月後、かつてのスタッフを中心となって立ち上げた別会社が『文化新聞』を復刊した。よもやのスピード復刊、スタッフの方々の熱意、ご尽力には敬意を表するばかりである。(帝国データバンク情報統括部)

日刊工業新聞 2023年11月16日

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