日立建機の中型ホイールローダー、車両ドア自動開閉装置を搭載
操縦者の転落事故防ぐ
ニシベ計器製造所(東京都大田区、蓮井康二社長)は、車両ドアを自動開閉する自社製装置が日立建機の建設機械に採用された。建機の側面下のスイッチ操作でドアを開ける。搭載される建機は人の目の高さほどの位置まではしごを上り、運転室のドアを手で開く必要がある。同装置の搭載で地上から開閉が可能になり、転落事故の抑止など安全性を高められる。自動車以外への採用は初めて。これをテコに、自動車以外の分野の開拓を図る。
自動開閉装置は、日立建機の中型ホイールローダー「ZW6シリーズ」に搭載され、8月に出荷する予定。手元のスイッチでドア周辺に取り付けられた電動モーターが作動し開閉する。
地上から開けたドアに乗り込んだり、降りた後に地上からドアを閉めたりするため、高い場所でのドア開閉が不要になる。バランスを崩して建機から転落するなどの事故を防げる。
ニシベ計器製造所はタクシーの料金メーターの主要1社。売上高のほぼすべてがタクシー業界向けで、新規事業による経営の多角化に取り組んできた。今回は、タクシーの後部ドア用に開発した「Eドア」の応用先を探していたところ、日立建機の目にとまった格好だ。
今回の建機への採用を機に住宅分野などへの供給も目指す。将来的に売上高比率を、タクシー業界向けとその他の業界向けで50%ずつにする。
料金メーターはタイヤの回転数から運賃を計算する既存型から、全地球測位システム(GPS)を基に計算するソフトメーターに置き換えようとする流れがある。ニシベ計器は、動向を注意深く見守る方針だ。
日刊工業新聞 2024年01月30日