JSR・新光電工買収のJICが投資枠増額、大型再編にらみ数千億円
運用期限50年に延長
産業革新投資機構(JIC)は事業再編向けの投資枠を増額する検討に入る。JICは2023年にJSRや新光電気工業の買収を決めるなど、大規模な業界再編投資を相次いで進めている。現在の投資枠をおおむね使い切ることから、今後の大型投資に備えて投資体制を強化し日本の産業競争力強化につなげる。増額規模は数千億円に膨らむ公算が大きい。
政府は24年の通常国会で産業競争力強化法を改正する方針。投資枠増額の検討は改正法案の可決後、着手する構え。また改正案では、現在34年までとするJICの運用期限を50年まで伸ばす。運用期限が延びることで、より長期間の投資を実行できるようになる。投資回収に期間を要する案件など、民間資金だけでは取り組めない案件に対して、従来以上に投資しやすくなる。
JICは現在、傘下のJICキャピタル(東京都港区)が事業再編向けの投資枠を有し、二つのファンドを通じて約1兆1000億円を運用している。23年にJSRや新光電気工業などの買収を決定し、今後の大規模案件への投資実行には投資枠の増額が必要な状況だ。
スキームについては、新たにファンドを立ち上げることや、JICキャピタルとの共同ファンドの投資枠を増額することなどで投資枠の増額を検討する。金額や投資対象となる業種などは今後詰める。
日刊工業新聞 2024年01月22日