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半導体再興へ、今最も熱い「チップレット集積」日本チームリーダーの展望
半導体再興へー大学の最先端研究 #7
「中工程」を産学で実用化へ
NECを振り出しに、ルネサスエレクトロニクスや東芝など組織を渡り歩きながら、一貫して半導体の研究開発に携わってきた東京工業大学の栗田洋一郎特任教授は、今最も熱い「チップレット集積」の日本チームを率いるリーダーだ。
栗田特任教授はチップレット同士の新しい接続技術として、微小な金属柱でチップレットとシリコンブリッジをつなぐ「ピラー・サスペンディド・ブリッジ」(PSB)構造を提案。数ある接続法の中で唯一、中継部材であるインターポーザーが不要なため、シンプルかつ低コスト製造が可能で拡張性も高い。
あらゆる機能のチップレットを直接結び、一つの構造体にする「集積回路(IC)のIC」との意から「メタIC」と名付けたPSB構造の実用化を目指し、2022年に大阪大学や東北大学、装置・材料関連の数十の企業とコンソーシアムを始動した。「要素技術ではなく、システムを供給するバリューチェーン(価値連鎖)志向」(栗田特任教授)で、人工知能(AI)や自動車業界など内外の顧客要求に応える。
チップレット集積は前工程と後工程の間の「中工程」として、新市場を獲得できるとみる。コンソーシアムの中核企業であり、栗田特任教授自身も在籍するアオイ電子は中工程の量産工場の立ち上げを23年末に公表した。
コンソーシアムではチップレットの3次元(3D)集積や光集積など次世代研究も進めており、「材料や装置、光関連技術など日本が持つ総合力」(同)を武器に、これらを統合し、中工程の立ち位置から産業化への道筋をつける。
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日刊工業新聞 2024年01月18日
特集・連載情報
日本の半導体が再興の波に乗り、大学への期待感が強まっている。先端デバイスの研究開発は一時期、大学でも下火となった。だが、半導体分野の教育・研究を通じた人材育成や、最先端技術の開発はこれから大学の大きな使命となる。専門家はどのような未来図を描くのか。注目研究者のテクノロジー展望に迫る。