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CMOS研究一筋40年、"冬の時代”経験した東大教授が語る半導体業界
半導体再興へー大学の最先端研究 #6
東京大学の高木信一教授は東芝出身で、大学院時代から40年以上、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の研究一筋に歩んできた。かつては次世代半導体開発の国家計画「半導体MIRAIプロジェクト」のグループリーダーも務めた。
シリコンCMOSの微細化の限界が近づく中、ゲルマニウムなどの化合物半導体を使ったハイブリッドの3次元積層CMOSなどを手がける。1ナノメートル(ナノは10億分の1)世代以降で鍵となる相補型電界効果トランジスタ(CFET)を見すえた最先端の技術だ。
一方、近年は人工知能(AI)計算に応用できる酸化ハフニウム系強誘電体からなる強誘電体トランジスタ(FeFET)を用いた「物理リザバーコンピューティング」の研究が注目され、13日まで米サンフランシスコで行われた国際電子デバイス会議(IEDM)で招待講演を行った。
そのほか次世代の「ナノシート」構造に向け、シリコン膜厚が4ナノメートル以下になり性能が劣化した際の解決策の提案や、極低温下で動く量子コンピューター用CMOS回路の特性評価なども行う。
東芝時代は日の丸半導体の全盛期だった。その後、半導体分野に予算が付かない“冬の時代”を経験し今に至る。半導体業界は浮き沈みが激しく、世界的な競争も厳しい。「だからこそ面白い面もある。日本の半導体ビジネスを軌道に乗せ、国の支援がなくても世界に伍(ご)していける実力をつけてほしい。そうしなければ、学生にとって魅力的な業界とはなりにくい」と話す。
日刊工業新聞 2023年12月22日
特集・連載情報
日本の半導体が再興の波に乗り、大学への期待感が強まっている。先端デバイスの研究開発は一時期、大学でも下火となった。だが、半導体分野の教育・研究を通じた人材育成や、最先端技術の開発はこれから大学の大きな使命となる。専門家はどのような未来図を描くのか。注目研究者のテクノロジー展望に迫る。