重要文化財で初適用…竹中工務店などが「和鉄」を現代技術で再現した鋼材のスゴイ特性
竹中工務店と日鉄テクノロジー(東京都千代田区、谷本進治社長)は共同で、江戸時代末期まで国内の木造建築に使われていた和鉄の特性を現代技術で再現した鋼材「REI―和―TETSU(れいわてつ)」を開発した。重要文化財である太宰府天満宮末社志賀社本殿(福岡県太宰府市)の保存修理工事に初めて適用した。
れいわてつは、和鉄の特性を最新の科学技術で分析・評価し、成分組成を忠実に再現した鋼材。現代の鋼材に比べて鉄の純度が高く、耐食性や柔軟性に優れる江戸時代の和鉄の特性を引き継いだ。安定供給が可能で、主に文化財建造物の保存修理工事や伝統木造建築の復元工事で活用が見込める。
江戸時代を中心に製造年代を特定できる和釘(わくぎ)を入手し、原料や製造方法の新たな視点から成分組成を詳細に評価・分析した。この結果、和鉄から作られた和釘は、表面を覆う錆が木材の中で使用年数とともに強固な酸化皮膜を形成。内部の鉄を保護して錆の進行を抑えていたことや、極微量のニッケルなどが耐食性に影響することが分かった。
日刊工業新聞 2023年12月13日