住友大阪セメントがCCU技術確立へ、人工石灰石を生産拡大
栃木で来年度実証
住友大阪セメントは2024年度中に、CCU(炭素の回収・利用)技術として開発中の人工石灰石(CaCO3)の大規模実証実験を栃木工場(栃木県佐野市)で始める。現在はグループ会社の中研コンサルタント(大阪市大正区)のベンチプラントで、廃石こうボード由来の人工石灰石を1日当たり約50キログラム生産している。この規模を拡大し、栃木工場に同500キログラム―1トンを生産可能な体制を整える。
2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)の達成に向けて、技術確立を目指す。
人工石灰石は廃コンクリートや一般焼却灰などのカルシウム(Ca)を含有する廃棄物などから酸化カルシウム(CaO)を抽出し、セメント生産工程で分離された二酸化炭素(CO2)と再結合させることで生成する。生成した人工石灰石は、セメント原料としてコンクリート製品などへの利用が検討されている。
今回の実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業に採択されたプロジェクトの一環で実施する。住友大阪セメントを幹事会社とし、UBE三菱セメントや大成建設、山口大学など4大学と産学連携体制で技術開発を進めている。
住友大阪セメントは35年を見据えた長期ビジョンで、セメント事業と非セメント事業の売り上げを50%ずつとする事業ポートフォリオ変革を掲げる。人工石灰石は非セメント事業の一つとして技術確立が期待されている。
日刊工業新聞 2023年12月07日