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鉄筋の代わりに竹材利用…復活「竹筋コンクリート」の実力値

鉄筋の代わりに竹材利用…復活「竹筋コンクリート」の実力値

竹筋活用のコンクリート構造物

新和設計(山形県米沢市、湯沢洋一郎社長)と日本大学工学部を中心に構成する竹筋(ちっきん)コンクリート協議会(事務局=新和設計)は、鉄筋の代わりに竹材を利用した竹筋コンクリートを開発した。鉄筋コンクリートの60―70%の強度で実用化できる。26日にU字溝として福島県南会津町の水路に設置し、効果を検証する。自然資源を活用した手法として、小型コンクリート構造物向けに普及を目指す。

竹筋コンクリート協議会には新和設計と日大を含め、日仙産業(福島県白河市)や坂内セメント工業所(同柳津町)など5企業・2大学が参画する。竹筋コンクリートは竹筋で構造物を組み上げ、コンクリートを流し込む仕組み。昭和の初めまでは国内で普及していたが、終戦で鉄の利用が可能になり衰退した。今回は竹を活用した環境に優しいコンクリートとして、復活プロジェクトとなる。

1、2年で成長し、5年で枯れる竹の特性を有効利用する。竹は内側の強度が弱く、外側が強い。このため同協議会は弱い部分を削り、外側の根元部分を活用。竹材を曲げて組み上げ、コンクリート構造物に仕上げる開発を進めてきた。この結果、切削加工機で竹を削り、10ミリメートル厚の竹を格子状に組み上げる手法を確立した。

これまでの実証で、鉄筋コンクリートの60―70%の強度で利用できることを確認。日本産業規格(JIS)に適合する加重データも得た。また切削加工機についても生産性と使いやすさを重視した装置を開発した。まず孟宗竹と真竹で実用化。南会津町では農地用水にある長さ20メートルのU字溝に、幅15ミリメートル、厚さ5ミリメートルの竹を組んだコンクリート構造物を設置する。

日刊工業新聞 2023年11月24日

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