コンクリートは“環境優等生”、鹿島がアピールしたいCO2固定技術
鹿島は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を視野に、開発・実装を進めるコンクリート技術の提案・情報発信に磨きをかける。コンクリートの二酸化炭素(CO2)排出量を削減したり、CO2の固定量を最大化したりする試みを訴求。高い環境負荷ばかりに注目が集まる中、あらためて街づくりに欠かせないサステナブル(持続可能)な資材として浸透させる。
鹿島はCO2の吸収量が製造過程の排出量を上回るようにしたカーボンネガティブコンクリート「CO2スイコム」をはじめ、セメントを産業副産物で代替してCO2排出量を減らした「エコクリート」や、CO2を吸収させた材料を使うCO2固定型コンクリートなどで実績を積み上げてきた。建設現場への適用例も出ていることから、もう一段の情報発信に力を入れる。
併せて、特殊な混和材を混ぜたコンクリートを強制的に炭酸化させて耐久性を引き上げた「EIEN」や、CO2スイコムを建設用3次元(3D)プリンターの材料として用いる技術も前面に押し出す。技術研究所長を務める利穂吉彦専務執行役員は「まずはコンクリートを使う人の意識や関心を高めたい。その上で将来の技術開発を担う層へもアピールできれば」とする。
情報発信の拠点として、12日に同社の技術研究所西調布実験場(東京都調布市)に開設した「鹿島コンクリートベース」も活用する。それぞれの技術を分かりやすくまとめたパネルや動画だけでなく、実物や構成材料も展示。現物を手に取って“体感”してもらうことにより、理解を促す仕組みとした。同一の内容を見学できるオンラインミュージアムも用意している。
鹿島コンクリートベースの前には、CO2スイコムで作成したブロックも敷設した。通常のコンクリートに比べ、CO2を約3・3トン削減できたという。
展示する内容は随時更新し、社会のニーズに応じた提案・情報発信にこだわる。一般非公開だが、鹿島の取引先やコンクリートに関係する研究機関だけでなく、近隣の小学生の学習の場としても役立ててもらう計画だ。