ファナックが新機種投入、中型ハンドリングロボットの訴求力
ファナックは中型ハンドリングロボット「M―710iDシリーズ」の新機種を開発した。同シリーズで8月に発売した可搬質量50キログラムの機種に続く第2弾。前シリーズで顧客から好評を得た同50キログラム機種の動作速度と同70キログラム機種の負荷能力を併せ持つ。目標サイクルタイムなどに応じて機種を使い分ける必要がなくなり、顧客の利便性向上につながる点を訴求し、拡販につなげる。
新開発の「M―710iD/70=写真」は2024年3月に市場投入する。可搬質量70キログラムで、リーチは2104ミリメートル。関節部分の露出を抑える設計を採用したことで、減速機など搭載部品の防塵・防滴性能を高めたほか、短期間での部品交換を不要とした。
耐環境性能の強化により、ダイカスト部品の取り出しやバリ取りといった厳しい使用環境下での信頼性を高めた。
同シリーズの特徴であるアームを湾曲させる仕組みも採用。ストレートアームに比べて周辺機器との干渉がしづらく、深い場所にある加工対象物(ワーク)でも把持できる。
ファナックは工作機械への部品供給や、大型ワークの搬送・組み付けなど幅広い産業分野での自動化用途に役立つと見る。
M―710iD/70は、ファナックが24年2月に発売予定のロボット制御装置「R―50iA」にも対応する。同装置はサイバーセキュリティー対策を強化したほか、同制御装置単体でプログラミング言語「Python(パイソン)」のスクリプトを実行できるといった機能も搭載する。
ロボットと組み合わせて使うことで、自動化やデジタル化を駆使したスマート工場化を推進できる。
日刊工業新聞 2023年8月28日