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技能者にポイント付与も…建設現場の人手不足どうするか、対策強化一段と

技能者にポイント付与も…建設現場の人手不足どうするか、対策強化一段と

労働環境をさらに改善し、賃金アップなど具体的なメリットを示すことが求められる(イメージ)

建設業界の課題である人手不足の解消に向けて、技能者の処遇を改善するための環境整備が進んでいる。国土交通省は技能者の資格や就業履歴などを見える化し、適正な評価や建設事業者の業務負担軽減につなげるためのシステムの普及を推進。一方、ベンチャーを中心に従事する技能者にポイントを付与する取り組みも近く動き出す。2024年4月から適用される時間外労働の上限規制が、業界全体の意識変革や対策強化を一段と促している。(編集委員・古谷一樹)

建設業における技能者数

建設業界にとって人材の確保、育成は重いテーマだ。22年に就業者の年齢構成をみると、55歳以上が約36%なのに対し、29歳以下は約12%。「全産業と比べて高齢化が進んでいる」(日本建設業連合会)。

若年層が増えない背景とされるのが、キャリアの道筋が見えにくいことや賃金の低さ。また技能者の能力やキャリアに対する統一的な評価基準がなく、処遇改善につながりにくい問題もあった。

こうした問題を解消するツールとして期待されるのが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」だ。国交省が主導・監督し、建設業振興基金が運営主体となって19年4月から本格運用が始まった。

同システムは建設事業者が工事内容などを、技能者が本人情報や保有資格などをシステムに登録。「キャリアアップカード」を交付された技能者は現場で業務に従事する際、カードリーダーに就業履歴を記録する。資格や就業履歴はデータ化され、技能者のスキルに応じて四つのレベルで判定する。

ただ、現時点でCCUSが十分に普及しているとは言い難い。約300万人超の技能者のうち、実際に登録しているのは約128万人。5年ですべての技能者を登録するとしていた当初の目標にはほど遠い。

もちろん国交省も対策を進めている。データを蓄積するカードリーダーの設置コスト削減などの支援策を通じて、利便性や管理・作業効率の向上につなげる考え。「大手だけでなく中小規模の会社や地方に広く浸透させることが課題」(国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課の松野憲治建設キャリアアップシステム推進室長)とみている。

一方、建設技能者にポイントを付与することで、意欲向上や現場の活性化などを狙った取り組みも近く始まる。建設業界向けの施工管理サービスなどを手がけるリバスタ(東京都江東区)と大手ゼネコンの連携による実証実験だ。

技能者は元請け会社が主催する安全講習会への参加や改善提案を行うことで受け取ったポイントを「PayPay(ペイペイ)」に取り込み、コンビニエンスストアなどでの商品購入に利用できる。就業履歴データとの連携によるきめ細かなポイント付与など機能拡張を検討中で、24年に新たな実証実験に乗り出す計画。

「3K」に代表されるかつてのネガティブなイメージがだいぶ払拭されたものの、建設業界の人手不足の解消には労働環境をさらに改善し、賃金アップや残業時間の削減、福利厚生の充実といった具体的なメリットを示すことが欠かせない。業界関係者がそれぞれ地道な取り組みを継続していくことが重要となる。

日刊工業新聞 2023年11月21日

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