ニュースイッチ

半導体向け薬剤処理フィルター、倉敷繊維加工が増産で売上高5億円へ

半導体向け薬剤処理フィルター、倉敷繊維加工が増産で売上高5億円へ

クラングラフトのカートリッジタイプ

倉敷繊維加工(大阪市中央区、米澤秀次社長)は、半導体製造工程で使用する薬剤などに含まれる微量な金属イオンを除去する微量金属イオン除去フィルター「クラングラフト」の生産を増やす。2年以内に、親会社であるクラボウの熊本事業所(熊本県菊池市)でフィルター生産の最終工程となる洗浄を始め、生産能力を倍増させる。現状数千万円のクラングラフトの売上高を、2027年度には5億円に伸ばすことを目指す。

クラングラフトは薬液メーカー向けに販売している。倉敷繊維加工の静岡工場(静岡県掛川市)でカートリッジタイプや試験検討用のカプセルタイプを製造。最終工程の洗浄も同工場で行っているが、洗浄装置の規模が小さく生産量が限られることが課題だった。

クラボウの熊本事業所は半導体製造装置向け部品などを製造し、これら部品の洗浄設備を保有する。この設備をクラングラフトの洗浄にも活用する。ただ洗浄方法が異なるため、現在は試験を行っているところだ。ボトルネックとなっている洗浄工程を両方で可能とすることで、生産能力の拡大だけでなくBCP(事業継続計画)にも対応する。

クラングラフトは、フォトレジスト向け薬剤の金属イオン除去で使用されることが多い。微細化が進む半導体では配線幅がナノオーダーで、薬剤に金属イオンが含まれていると品質に関わるためクラングラフトの需要は増えているという。今後は半導体製造プロセスでの薬剤処理へも採用を働きかけるほか、クラボウの販路も活用し医薬品原料用途も開拓していく。


【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社
日刊工業新聞 2023年11月15日

編集部のおすすめ