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世界一の膨張率…継ぎ目ない超電導加速空洞、高エネ研など作製に成功

高エネルギー加速器研究機構の山中将教授は日本ニューロン(京都府精華町)と共同で、液圧成形で継ぎ目のない超電導加速空洞を作製することに成功した。直径88ミリメートルの銅パイプを210ミリメートルまで膨らませる。2・4倍の膨張率は高エネ研調べでは世界一という。荷電粒子の加速管製作のコスト低減につながると期待される。

金型の中で銅パイプに水圧をかけて膨らませる。2段階の液圧成形で管径を2・4倍まで膨らませることに成功した。従来は曲面形状をそれぞれ作って溶接でつないでいた。つなぎ目がなくなると超電導を維持しやすくなる。生産性は溶接に比べて10倍向上する。

加速空洞は内面を鏡面に磨き上げてからニオブを成膜して超電導化する。海外の加速器研究者からも引き合いがきており、部材を提供して学術研究に貢献していく。

日刊工業新聞 2023年11月09日

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