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CO2も運用コストも8割削減、ダイキンが自社工場にヒートポンプ

CO2も運用コストも8割削減、ダイキンが自社工場にヒートポンプ

蒸気ボイラと置き換えた循環加温ヒートポンプ。使用する工程の近くに設置できる

ダイキン工業は生産工程での二酸化炭素(CO2)排出量削減に向け、自社工場の産業用蒸気ボイラをヒートポンプに順次置き換える。まず業務用製品の生産拠点の臨海工場(堺市西区)で、塗装の2ラインに最高80度Cの湯が出る自社開発の循環加温ヒートポンプをボイラに代えて設置。年間のCO2排出量86%、ランニングコスト82%の削減を見込む。今後、滋賀製作所(滋賀県草津市)など他拠点への展開も検討する。

23年度中に臨海工場のカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成を目指すに当たり、ガスや重油を使用するボイラを、空気中の熱エネルギーを利用して電気の使用量を抑えるヒートポンプに置き換えた。100度C以上の蒸気を供給するボイラの用途を分析し、80度C以下の湯で置き換えられる工程があることに着目した。

ダイキン従来製品にはなかった60―80度Cをカバーする循環加温ヒートポンプを開発。2段階の冷媒サイクルで温度を高める仕組みにより、循環する水の加温を実現した。機器単体でも約20%のCO2削減ができ、配管での搬送時の熱ロスを大きく抑えられた。

産業用ヒートポンプ「JIZAI HEAT(ジザイヒート)」として他社からの受注も始めた。消費税抜きの価格はポンプ付き730万円、ポンプなし640万円。1台を複数工程で使うことが多いボイラに対し、同ヒートポンプは各工程の至近距離に分散して設置する。搬送距離が短く放熱ロスが低減する上に、工程ごとの温度設定がしやすい。塗装のほか洗浄、保温など多様な用途を想定。平均的な削減量はCO2排出量が62%、ランニングコストは64%と試算している。

日刊工業新聞 2023年11月02日

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