半固体電池で売上高100億円以上へ、アザパ・米24Mが合弁で自動車メーカーを狙う
AZAPA(アザパ、名古屋市中区、近藤康弘社長)は、米ベンチャーの24Mテクノロジーズ(マサチューセッツ州)との合弁会社を11月に日本で設立し、半固体電池を日本をはじめ世界で拡販する。半固体電池はリチウムイオン電池(LiB)に比べて低コストなどの利点がある。電動車領域では開発の初期段階から自動車メーカーと連携し、電池と車両性能を一体化した最適設計を行う。5年後に売上高100億円以上の規模を目指す。
合弁会社「Enfiniti(エンフィニティ)」は名古屋市に本社を構える。車載電池や定置用蓄電池の設計から搭載までを総合したソリューションおよびエンジニアリングサービスを提供する。高いエネルギー密度や安全性、低コストを実現する24Mの半固体電池について、自動車メーカーなどをターゲットに採用を狙う。
車載向けでは、AZAPAの中国法人が出資する中国の電池メーカー、AXXIVA(アクシバ)が24Mの電池設計技術や製造ライセンスを取得。2024年に半固体電池を量産化する計画だ。
現在、同社の車載電池のエネルギー密度は1キログラム当たり272ワット時。24年には同320ワット時、26年には同400ワット時に高める計画。既に現地の自動車メーカー奇瑞汽車(チェリー・オートモービル)の車種に搭載が決まっている。
24Mの半固体電池は電極部材に電解液を練り込んで粘土状にしたものを使用する。LiBに比べ、材料の使用量や種類を減らせるほか製造工程を半減し、製造コストを大幅に削減。価格競争力のある製品を安定供給できる。AZAPAは24Mと半固体電池を用いた電気自動車(EV)の設計に向けて20年に技術協力契約を締結した。
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日刊工業新聞 2023年11月02日