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伊藤忠が「エネマネシステム」商用化へ、スーパーでピークカット実証

伊藤忠が「エネマネシステム」商用化へ、スーパーでピークカット実証

AIを活用し充放電を最適に制御する

伊藤忠商事は太陽光発電設備と蓄電池、電気自動車(EV)などを組み合わせたエネルギーマネジメントシステム(EMS)の商用化に乗り出す。スーパーマーケット店舗に導入した分散型電源プラットフォーム(PF)とEVをつなぎ、EVの余剰電力を店舗に供給するなどして電力消費の最大需要量を削減する「ピークカット」の効果を高める実証実験を1月中旬に行う。2021年度中の商用化を目指す。

アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)と共同で、ヤオコーのスーパーマーケット川越的場店で実証する。年間5-10%の電気料金削減を目指す。

同店舗には既にPFを導入しており、人工知能(AI)が消費電力や発電量などを予測して各設備を最適に制御してきた。今回、AZAPA(名古屋市中区)が開発したEVをネットスーパー用の配送車として新たに導入する。施設の電力使用状況などに合わせてAIがEVの充放電のタイミングを最適化する。

事業継続計画(BCP)にも役立て、施設の災害対応力向上にもつなげる狙い。将来的にはホームセンターや物流施設への導入も想定する。小型商用EVを使った物流分野における車両運用とEMSのノウハウを蓄積し、PFの機能を拡大する。

住宅や施設でのエネルギー利用状況を把握し、効率的に使うEMSの需要は拡大している。調査会社の富士経済によると、30年度のEMS関連国内市場は、19年度比で53・9%増の1兆7008億円に達する見通し。

日刊工業新聞2022年1月5日

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