トヨタ「レクサス」で採用増える「バイポーラ型ニッケル水素電池」、豊田織機が生産能力を拡充
豊田自動織機は、電動車向け電動コンプレッサーとDC―DCコンバーター(電圧変換器)、バイポーラ型ニッケル水素電池の供給体制を拡充する。主に自動車の空調などに使われる電動コンプレッサーはドイツと米国で2025年にも生産ラインを新設し、中国を含めた3カ国で約300億円を投じる。同社の世界全体で23年に年間1000万台の生産能力を25年に1200万台へ増強する。
電動コンプレッサーでは25年1月にドイツ生産子会社のTDDK(ザクセン州)で、同年11月には北米生産子会社のMACI(ミシガン州)でそれぞれ年間80万台の能力を持つ生産ラインを新設する。中国では現在2拠点で生産し、合計年間200万台の生産能力を25年には240万台に引き上げる。ドイツでは欧州の自動車メーカー向けに展開、北米では日系と米国自動車メーカーに供給する。
DC―DCコンバーターはバッテリーの電圧を降圧して、ライトなど車載機器への電源供給や補機バッテリーの充電を行う部品。トヨタ自動車の北米販売拡大に対応し、約100億円を投じ、米国ミシガン州の生産子会TIESNAがジョージア州に新工場を設立する。25年7月からDC―DCコンバーターでは同社で初となる海外生産を始める。生産能力は年間50万台を計画する。今後の増強も視野に入れる。
バイポーラ型ニッケル水素電池では、24年1月に石浜工場(愛知県東浦町)の第2ラインが稼働。生産能力は年間24万台。21年5月から稼働する共和工場(愛知県大府市)と22年10月に立ち上げた石浜工場第1ラインと合わせ、生産能力を年間72万台に引き上げる。トヨタや高級車ブランド「レクサス」の車種で同電池の採用が増えている。
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日刊工業新聞 2023年10月27日