リチウム生産参入へ、米法人設立したコスモエネ開発の勝算
コスモエネルギー開発(東京都港区、西克司社長)はリチウム資源開発事業への新規参入を目指し、米国法人「コスモE&P USA」を設立した。同社が長年培ってきた石油の探索・掘削技術を、リチウムの回収に活用する。事業化にあたっては、どの企業も商業的に成功していない、地下かん水から直接リチウムを回収する「直接リチウム抽出法」を採用する方向で調査・検討する。
新法人は米テキサス州ヒューストンに開設した。リチウムは電気自動車(EV)の車載用蓄電池や、再生可能エネルギーの主力電源化のために必要な電力の需給調整に用いる蓄電池に使われる。今後も需要の急増が見込まれており、米国で事業化に向けた調査を進めることにした。
リチウムの生産方法は現在、鉱石から採掘する方法と、塩湖または地層に含まれる塩水(かん水)から精製する方法がある。 ただ、いずれも生産に長時間がかかるほか、生産地も豪州、中国、チリ、アルゼンチンに集中するため、世界情勢の影響で供給が滞るリスクが懸念される。
これに対し、直接リチウム抽出法はかん水から天日濃縮工程を経ず、フィルターや吸着膜などを通すことにより直接リチウムを抽出する。従来法と比べて短期間でリチウムを生産できるほか、広大な蒸発池を必要としないことから環境負荷が低いとされる。リチウムの回収率も従来法の40―60%と比べて70―90%と高い。
日刊工業新聞 2023年10月23日