レーザー技術を生かす、三菱電機が次世代防衛装備品を共同開発
豪州国防省と事業契約
三菱電機は豪州国防省から次世代防衛装備品の共同開発事業契約を結んだ。豪州の国防科学技術グループが開発した最先端レーザー技術をベースに、三菱電機の電子・光学システム技術(レーザー技術)を活用して、防衛プラットフォームの監視と生存性強化を図る能力を共同開発し、実用化を目指す内容。国内防衛関連企業と豪国防省の間で契約にこぎ着けた事業は、日豪間の防衛装備・技術協力の象徴になるとともに、国内防衛産業の基盤強化にもつながる効果が期待される。
三菱電機は海外との商談で、2020年にフィリピン国防省と空軍の警戒管制レーダー輸出契約を結んでいる。これは完成品輸出だが、今回は次世代の商品開発。防衛省は「日本の防衛関連企業の技術が外国政府から着目され、国際共同開発に至った初の事例。官民一体となって装備移転を推進してきた効果が出た」と喜ぶ。
防衛省は海外で開く国際航空ショーなどに国内企業と共同でブースを出展するなど、輸出を積極的に後押ししてきた。輸出が成功すれば納入先がほぼ自衛隊に限られる日本企業の生産増加や、生産ライン維持を後押しでき、防衛能力を高められる。最先端の装備品共同開発では技術漏えいやサイバーセキュリティー対策などの相手国への説明が欠かせない。重要技術を相手に開示し、その中身が第三国に渡ったのでは安心して共同開発などできないからだ。
防衛省は19日に行った日米防衛産業のマッチングに向けた展示会「インダストリーデー2023」で、サイバーセキュリティー強化などの取り組みを米国側に説明した。海外への装備品輸出や共同開発では、こうした機密保全努力も求められる。
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日刊工業新聞 2023年10月23日